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こんばんは。
今日は抗がん剤についての問い合わせがあったので、それについて書かせてもらいます。
質問は、「抗がん剤治療を勧められている。抗がん剤の副作用をゼロにすることはできないのか?またそんな抗がん剤はないのか?」というものでした。
答えを言ってしまうと「副作用をゼロにすることはできません(正確にはしません)。また副作用が(絶対)ない抗がん剤もありません。」です。
これは、抗がん剤の特徴が腫瘍細胞をやっつける過程でどうしても正常の細胞にもダメージを与えてしまうことにあります。そして正常の細胞にダメージを与える結果起こるのが、副作用です。これはどの抗がん剤も同じです。
副作用の発生リスクを下げることはできます。それは抗がん剤の投与量を少なくすることです。しかしこれをすると腫瘍細胞をやっつけることもできなくなります。なので、抗がん剤を使用する際きちんと効果を出すために副作用が出るくらいの量を使う必要があるのです。
もちろん、副作用が起きてほしくないと思うのは私たち獣医師も同じなので、副作用を和らげるお薬を合わせて使うことで副作用が起こってもなるべく問題にならないようにします。また抗がん剤の使い方は一定のやり方がありますが、動物の状態も考慮してオーダーメイドのようにレシピを作り替えることもします。これは化学療法の知識が豊富な認定医の力の見せ所だとも思います。
時に、化学療法が悪のように言われることもあるかと思います。しかし化学療法が昔から使われ、今でも3大治療の一つとされているのは、やはり効果があるからです。
例えば、犬のB細胞型多中心型リンパ腫では無治療だと2〜3ヶ月くらいしか生きれないことが多いと思いますが、その病気に化学療法を行うと生存中央値(100頭病気の子がいて、50頭がなくなるまでの期間:平均寿命のようなものと考えてOKです)が1年以上に伸びるのです。
これはとてもすごいことだと思います。もちろんこれを達成するのは簡単ではありません。病院側が正確に薬の量を決めないといけませんし、おうちでの体調管理や通院もしっかりしないやらないと、続けられる治療ではないと思います。つまり、抗がん剤治療を成功させるには病院とご家族この両方が大事で、さらにお互いが協力することがとても重要なのです。
ここまで化学療法(抗がん剤治療)の効果や結果を説明しましたが、やはり抗がん剤治療に持っている悪いイメージは拭いきれないと思います。私自身にも、未だに『抗がん剤治療=良くない』というイメージが残っているので、そのお気持ちは十二分にわかるつもりです。
そんな中で、『体に優しい治療』『負担が少ない治療』と謳われる代替療法(温熱療法、高濃度ビタミンC療法、漢方など)が魅力的に映るのも仕方ないと思います。ただ、ほとんどの医者や獣医師は体に優しい治療がしたい、負担の少ない治療がしたいんです!でも、その代替療法を提案しないということは、、、と、いうことなんです。代替療法は、効果の確実性を証明するデータがまだまだ不足しているんです。
もちろん代替療法の全てを否定はしません。
「抗がん剤や外科手術などでしんどい思いは絶対させたくない。けど何もしないのもつらい」
このような方が、代替療法を行って少しでもいい結果が出れば、それはとても幸せなことだと思います。
(ちなみにこの時“緩和治療”も絶対行ってください!!)
また当院で新しく始めた、一部の悪性腫瘍に有効な治療法である電気化学療法は、下記のページで詳しく解説しています。
ESSE動物病院 院長 福間
大阪府吹田市青山台2−1−15(北千里駅から徒歩8分)
駐車場は10台以上あります。(豊中市、箕面市、茨木市、摂津市からも車で来院しやすいです)
皮膚科(アレルギー、アトピーなど)、腫瘍科(がん)、循環器科(心臓病、腎臓病)を得意としています
健康診断、予防接種、フィラリア・ノミダニ予防、避妊・去勢手術も行います。ご相談ください