内分泌科
Endocrinology
内分泌科
Endocrinology
副腎皮質機能亢進症は、コルチゾールというホルモンが過剰に分泌されることによって起こる疾患です。症状は、水をよく飲む、尿量が多い、食欲増加、お腹が膨らむ、皮膚のトラブル(脱毛やフケ、皮膚の硬化(石灰化)など)が見られます。診断は、血液検査やエコー検査で行いますが、一般的な検査では気付かれないこともあり、この病気を想定した上で検査を行うことが重要です。また、時には脳のMRI検査を検討する必要もあります。治療は、通常飲み薬でコルチゾールの量をコントロールしますが、量の調整が難しく厳密なコントロールは時に困難なこともあります。またMRIの結果によっては放射線治療が有効なこともあります。
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンという体の代謝に広く関わるホルモンの減少により発症する疾患です。症状は、皮膚の変化(脱毛、フケの増加、ベタつき、むくみなど)、元気の低下、食欲の低下、肥満などが見られます。診断は、甲状腺ホルモンの測定によって行います。ただ、ユウサイロドシック症候群という偽の甲状腺機能低下症が存在し誤診も多い病気ですので、甲状腺関連のホルモンを複数種類同時に測定し、また時に全身状態の評価も行い診断する必要があります。治療はとてもシンプルで、足りない甲状腺ホルモンを飲み薬で補うホルモン補充療法を行います。犬の場合は、甲状腺機能が戻ることは少なく、生涯の治療が必要になることが多いです。
副腎皮質機能低下症は、コルチゾールやアルドステロンなどのホルモンの分泌が低下することによって起こる疾患です。症状は、元気の低下、食欲の低下、下痢、嘔吐、意識レベルの低下などです。また時に循環不全に陥り、緊急疾患として来院されることもあります。診断は、血液検査やエコー検査で行いますが、少し稀な病気であることもあり一般的な検査では気付かれないこともあります。この病気を想定した上で検査を行うことが重要です。治療は、通常飲み薬で行いますが、コルチゾールとアルドステロンそれぞれの補充量のバランスが個体ごとに違うので、複数のお薬を組み合わせて治療を行うこともあります。
糖尿病は、インスリンの不足により体が糖を栄養として利用できず、血糖値の増加とともに体の代謝の異常が発生する疾患です。症状は、水をよく飲む、尿量が多い、食欲の増加、体重減少などです。診断は、血糖値の測定や平均血糖マーカーの測定により行います。治療は、インスリンの投与、経口血糖下降薬、食事療法、悪化要因(肥満、膵炎、末端肥大症、副腎疾患、その他疾患)の治療などを行います。血糖管理の程度はその個体の状況や、ご家族の治療可能範囲によって相談して決定します。低血糖のリスク回避のために、血糖を継続的に確認できるデバイスを使用することもあります。
甲状腺機能亢進症は、8歳以上の高齢猫に多い甲状腺ホルモンの過剰分泌により発症する疾患です。症状は、体重の減少、活動性の亢進、水をよく飲む、尿量が多い、毛並みの悪化などです。診断は、血液検査で甲状腺ホルモンの量を測定することで行います。治療は、甲状腺ホルモンの合成を抑える薬を飲むことで行います。甲状腺機能亢進症の診断や治療自体はシンプルですが、高齢の猫では慢性腎臓病も多く、甲状腺機能亢進症の治療を行うことで腎臓機能低下が顕在化・悪化することがあります。腎臓病や心筋症などの併発疾患を考慮した治療バランスをとることが、時に治療を困難にします。
特発性高カルシウム血症は、原因は不明だが血液中のカルシウム濃度が過剰に増加することによって起こる疾患です。症状は、元気の低下、食欲の低下、水をよく飲む、尿量が多い、嘔吐・下痢などです。診断は、血液中のカルシウム濃度の測定や、カルシウム関連ホルモンの測定、そして「上皮小体機能亢進症」や「腫瘍」など他の病気がないことの確認によって行います。治療は、内服薬による血液中のカルシウム量のコントロールを行います。また、併発疾患として尿石症(膀胱結石、尿管結石、尿道結石など)が見られることもあり、それらの病気の根本に高カルシウム血症がないかの確認も重要です。
内分泌疾患は、時として寿命に影響しないこともありその治療の必要性が軽く捉えられることもあります。ただ、感染症のリスクや日常の活動の変化など、生活の質(QOL)を高めるためにしっかりとした治療が必要なこともあります。それを求めるご家族の力になれるような治療を心がけています。
内分泌疾患は、皮膚疾患を併発することが多く、それら皮膚疾患には内分泌疾患とは別の並行した治療が必要なことも多くあります。当院は、ホルモン治療と皮膚治療を並行してしっかりとした治療を心がけています。
内分泌疾患は、その原因に腫瘍疾患が存在することもあります。当院は腫瘍への治療にも力を入れており、原因となる腫瘍の有無を診断するための検査や、根本的な治療のために外科治療、放射線治療なども、時に選択肢にふくめ治療方法を相談させていただきます。
受付をさせていただきカルテを作成させていただきます。その後、スタッフから今までの経過や現在の症状、ご家族が心配されている点などをお伺いします。
診察室の中に入りましたら、まずは動物の体を触らさせていただき触診や視診、聴診で確認できる異常がないかを確認させていただきます。
疑う病気に応じて、血液検査やエコー検査、レントゲン検査などを行います。検査の内容によっては、お預かりで検査を行う場合もございます。
検査結果の内容を説明と今後の治療方針をお伝えさせていただきます。できるだけわかりやすく、また思い出しやすいように時に資料も使って説明させていただきます。(検査の種類によっては、結果が出るまでに1〜2週間ほどお時間をいただくこともございます。)
お会計、お薬のお渡し、説明資料のお渡しは受付からさせていただきます。次回の再診目安もお伝えさせていただきます。
疾患により大きく異なります。詳しくはスタッフまでご相談ください。
疾患により大きく異なります。詳しくはスタッフまでご相談ください。