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軟部組織肉腫とは、軟部組織(皮下組織や筋肉など骨以外の支持組織)に発生する肉腫の総称です。
皮膚・皮下腫瘍の約15%を軟部組織肉腫が占めています。
代表的なものは、線維肉腫(ヒアルロン酸・コラーゲンなどを含む結合組織を作る線維芽細胞が悪性化し発生する腫瘍)、
血管周皮腫(血管を作る血管外膜細胞から発生する腫瘍)
脂肪肉腫(脂肪組織を作る脂肪細胞から発生する腫瘍)などが挙げられます。
一般的に成長速度は遅いとされ、徐々に増大し巨大化していきます。
悪性度(グレード)により転移率が異なり、グレード1の場合 転移率は10%未満ですが、
最も悪性度の高いグレード3では転移率が約40%となります。
臨床症状は、
関節周囲での発生や神経・骨に浸潤している場合、歩き方がおかしかったり歩行時の痛みが見られることがあります。
多くは体表(体の表面)に発生し、初期は症状がありません。
しかしサイズが増大して腫れや膨らみが出てくると、自壊や出血、感染が起こる場合もあります。
グルーミングをしている時にしこりに触れて気づかれることで、病院を受診するケースが多いので日頃のスキンシップを大切にしましょう。
全犬種に見られますが、比較的大型犬に多いとされています。
軟部組織肉腫は、脂肪や筋肉などの間葉組織に由来する悪性腫瘍です。
手術の前に診断のため、FNA(針で細胞の一部を取ってくる検査)を行うことが多いです。
間葉系細胞が十分に採取された場合は軟部組織肉腫を強く疑うことが可能です。
確定診断は、外科切除後に病理組織検査を行います。
第一選択は、外科的切除となります。
完全切除できた場合、予後はかなり良好と言えます。
ただし軟部組織肉腫は浸潤性が強いため、広範囲切除が推奨されます。
また、再発までの期間は1~2年とさまざまなので術後検診を行うことが大切です。
外科的切除で広範囲切除が困難な場合や 切除不可能な場合は
放射線治療を用いるケースもあります。
また手術が困難な部位に腫瘍ができた場合も、放射線治療による緩和療法を行うことがあります。