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肝臓腫瘍の中で最も多いと言われるのが「肝細胞腫瘍」です。
肝臓腫瘍は比較的な稀な腫瘍ですが、
腫瘍のでき方によって治療法や予後が異なります。
3つのタイプには「塊状」「多結節」「び慢性」があります。
この中で一番多いのは「塊状」のもので、肝臓に腫瘍が一塊のみできるものです。
塊状の転移率は0~37%とされていますが、多結節性、び漫性の場合は93~100%転移します。
主に局所リンパ節、腹膜、肺への転移が多く見られます。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれるように、
腫瘍が発生しても症状が出にくく、健康診断などで偶然発見されるケースがほとんどです。
腫瘍が進行すると、食欲不振や元気消失などの症状が見られます。
腫瘤サイズが大きな場合は、お腹が膨らんだり消化管が腫瘍に押されることで嘔吐や下痢などのお腹の症状を示すこともあります。
好発犬種はシーズー、ミニチュアダックスなどが報告されています。
腹部エコー検査でしこりがあるかどうか、また数や場所を確認します。
その後、状況によってはFNA検査(針でしこりを刺して、腫瘍細胞を採ってきて調べる検査)を行い肝細胞以外の腫瘍でないかどうかを確認することもあります。
CT検査では、
より細かくしこりのある位置や、リンパ節・その他の臓器への転移の疑いがあるかも確認していきます。
また造影剤を用いて行う造影CT検査では、画像の写り方の違いにより肝細胞腫瘍や他の腫瘍をより高い確率で見分けることができることもあります。
血液検査では、肝酵素数値(ALT、AST、ALP)などを確認することもあります。
腫瘤がある場合、これらの数値の異常が見られることもありますが、肝臓以外の病気(骨折などの骨疾患)やホルモンの異常でも高値になるため、肝臓腫瘍との関連を言い切ることは難しく、その判断は慎重に行う必要があります。
その後、外科手術でしこりを含む肝臓を摘出し、病理組織診断を行うことによって確定診断を行うことができます。
肝細胞腫瘍の治療は通常外科手術が第一選択となることが多いです。
塊状の肝細胞腫瘍は手術で完全に取り切ることができれば、その後は経過良好なことが多く完治を期待できる場合もあります。
しかし、多結節性やび慢性の場合は完全切除が難しく、時に腫瘍の体積を減らす目的で手術を行うこともありますが、完治を目指すのは難しいことが多いです。
また、外科手術のリスクとして大量出血、膵炎や肝不全、血栓症などが起こる可能性が考えられます。
お薬や抗がん剤による治療で、今現在高い有効性が報告されているものはありません。