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大阪府吹田市・豊中市・箕面市の皆さん。こんにちは。ESSE動物病院の院長 福間です。
5月も真ん中すぎて後半になりました。梅雨の時期が近づいている(というかもう梅雨なのでしょうか?)せいか、最近雨が多いですね。
私は自転車通勤なので雨は本当に嫌です。ワンちゃんを飼われている方も散歩に行きづらいので、同じ気持ちかと思います。
「自動追尾型のドローン傘とか出ないかな」とか変な期待を持って過ごしています(^_^)
さて、前回は犬の僧帽弁閉鎖不全症について〜検査まで説明しました。
今回は、検査の残りと治療について書いていこうと思います。
まず、血圧とは?です。
血圧とは、血管の中の圧力をいいます。まんまですね。笑
ではこの血圧は何で構成されているでしょう?
答えは、血流量と血管抵抗です。
一気に難しくなりました!なので、血管=ホース、血液=水に例えて説明していきます。
血圧が低い状態は、ホースの先からちょろっと水が出ている状況です。
逆に血圧が高い状態は、ホースの先から勢いよく水が出ている状況です。
では今、左の写真のように出ている水を右のように水を勢いよく出すにはどうすればいいでしょうか?
多くの人は、「蛇口をひねって水がより多く出るようにする」と言うと思います。
それで正解です!
つまり、流れる水(血液)の量を増やせば水の勢いは増す(血圧が上がる)ということです。
では次に、蛇口をひねる以外で出る水の勢いを増すにはどうすればいいでしょうか?
そうです!写真の人のように、ホースの先を潰せばいいんです。
ホースが細くなる(血管抵抗が上がる)と流れる水(血液)の量が同じでも、出る水の勢い(血圧)は増します。
これが血圧は、血流量と血管抵抗によって作られるということです。
ではこの血圧が心臓にどう関わってくるのでしょうか?
実は血液は、血圧の高いところから低いところに流れていきます。
なので全身の血圧が高いと、心臓から血液が出にくくなり、その結果左心房に逆流する血液が増えてしまいます。
この時に、問題のない範囲で血圧を下げると血液が心臓から出やすくなり、結果左心房への逆流も少なくなります。
この“血圧を下げる”の程度を判断するために、血圧測定をおこないます。
前の写真2枚を比較しています。
全身の血圧を下げると、血流量は大きくなります。
そして、この血圧を下げる手段として先ほどの蛇口を閉める(血流量を減らす)かホースを広げる(血管抵抗を減らす)かの選択肢が出てきて、治療が分かれてきます。
さて、いよいよ僧帽弁閉鎖不全症の治療に入っていきます。
まず、僧帽弁閉鎖不全症には内科治療と外科治療が存在します。
内科治療とは、お薬を使い心臓や肺への負担をとる治療です。
始めるのは簡単で、状況によりますが治療効果は得やすいです。ただ、基本的に薬を止めれること(治ること)はないです。
外科治療とは、手術で心臓を治す治療です。
もちろんリスクも伴いますし、費用もかかります。また施設が限られるので、手術を受けたくてもすぐに受けることができないこともあります。
ここではよく使われるお薬を、効果や使い所などの特徴を踏まえて書いていきます。
この薬は、心臓のCaイオン感受性の増大やPDE3阻害により、『心臓の収縮力をあげる』『血管を広げる』効果があります。
イメージとしては、全身の血管を広げて心臓から血液が出やすいようにして、且つ心臓機能をあげることで血液がしっかり心臓から全身に送り出されるようになる薬です。
この薬は、ACVIM(アメリカ獣医内科学学会)が出した僧帽弁閉鎖不全症治療のガイドラインにおけるステージB2(心臓の拡大はあるが、心不全の症状はない状況)の患者さんに投与することで、肺水腫を起こすまでの期間が長くなったという報告があり、ACVIMのガイドライン上でもステージB2の患者さんから使用しても良いとされています。
僧帽弁閉鎖不全症への使用に関しては、副作用も特段目立つものはなく比較的よく使われています。
当院でもそうですし、多くの病院で内科治療の1番最初に登場するお薬の1つではないかと思います。
(動物用ピモベンダン製剤は、複数種類あります)
ACEとはアンジオテンシン変換酵素(Angiotensin Converting Enzyme)の略称で、ACE阻害薬はアンジオテンシン転換酵素を阻害する働きを持った薬です。
ACE阻害薬は、『血管を広げて心臓の負荷をとる働き』や、『心臓がダメージを受けた時に歪に変化する“リモデリング”というものを抑える働き』があります。
またACE阻害薬には複数種類があり、フォルテコールやアピナックなど病院によって置いてあるお薬が違うこともよくあります。
以前は、ステージB2ではACE阻害薬のみが進行を抑えるのに有効だとされていました。今は、ピモベンダンの方がその有効性が高いのではないかと言われており、最初に使用されることは少なくなってきているように感じます。
アムロジピンは、血管にあるCa(カルシウム)チャネルというものを抑えることで『血管を広げる働き』があります。
血管を広げると心臓から血液が出やすくなるので、心臓の負荷を少なくすることができます。
この薬は、獣医さんによってはほとんど使わない先生もいればそこそこ積極的に使う先生もいます。私は、そこそこ積極的に使う方です。
というのも、ある論文(※1)でピモベンダンとアムロジピンを比べると早期ステージの心臓病での使用では、有効性は変わらなかったという報告があるからです。
その理由としては、僧帽弁閉鎖不全症の早期ステージでは心臓の収縮力は十分に維持されており、ピモベンダンは心臓の収縮力を強めることで効果を示しているのではなく、血管を広げる作用で有効性を示していると考えるからです。
使い方は、血圧測定で高血圧かその傾向にある患者さんに限って使用しているのと、ACE阻害薬は極力併用するようにしています。
※1:Comparative Evaluation of the Echocardiographic Parameters of Dogs with Chronic Mitral Valve Regurgitation Treated with Amlodipine or Pimobendan
利尿剤は、むくみ取りとかで人の方でも使われているみたいで、字の通り『尿をたくさん出す作用』のあるお薬です。
尿を作る過程の一部を阻害することで、塩分(NaCl)と一緒に水分を通常よりも多く排泄するようにするお薬です。
①心臓の機能が落ちると血液の循環が悪くなる。
⬇︎
②体は血液量を増やすことで、血液の循環をよくしようとする。
⬇︎
③結果、体に過剰の水と塩分が溜まりさらに心臓に負担がかかる。
⬇︎
④肺に過剰な水(血液)が行くことで、肺水腫になる。
このような流れが心不全になると起こるため、利尿剤で過剰な水分と塩分(NaCl)を出すことはとても重要です。
ただあくまで、これは肺水腫などの心不全が起こったときに使用すべきとされており、それより早期に使用したり過剰に使用したりすると本当に必要な水分までなくなってしまい、腎臓などによくないと考えられます。
利尿剤は、昔からよく使われている薬ですが本当に必要なタイミングで必要な量を使用することって結構難しいなと感じます。
最後に、利尿剤には短時間作用のフロセミドと長時間作用のトラセミドがあります。院内での緊急管理にはフロセミド、処方薬にはトラセミドという形で私は使うことが多いです。
当院が、通常の通院治療で使う薬はこんな感じです。
肺水腫などでの、緊急管理の際はまた他の薬も使いますがまたそれは別の機会にしようと思います。
最近は、僧帽弁閉鎖不全症に対して外科手術を行うことも獣医医療業界として増えてきました。
当院ではもちろん実施していませんが、ご希望とされる飼い主様には専門医療機関を紹介もさせていただいています。
さて、僧帽弁閉鎖不全症に関しての話はどうだったでしょうか?
心臓と血液の流れとか、血圧の話とか、昔は私もチンプンカンプンでしたが、わかってくると結構楽しいんですよね。
もちろん今でも学会に参加すると勉強させられることはたくさんありますので、これからも研鑽を積み今以上に飼い主様と動物の健康で幸せな生活の手助けができるようになっていきます。
ESSE動物病院 院長 福間
大阪府吹田市青山台2−1−15(北千里駅から徒歩8分)
駐車場は10台以上あります。(豊中市、箕面市、茨木市、摂津市からも車で来院しやすいです)
皮膚科(アレルギー、アトピーなど)、腫瘍科(がん)、循環器科(心臓病、腎臓病)、外科手術(麻酔管理と痛みの管理をしっかり行います)を得意としています
健康診断、予防接種、フィラリア・ノミダニ予防、避妊・去勢手術も行います。ご相談ください