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大阪府吹田市・豊中市・箕面市の皆さん。こんにちは。
大阪府吹田市のESSE動物病院の動物看護師 佐川です(*^^)v
まもなく梅雨入り!
夏に変わるこの時期から「耳を掻いています」という症例が多くなります。
これは、耳の中の湿度が上がり細菌が繁殖しやすくなることが原因です。
今回は、そんな「耳」に関するお話をまとめてみました。
犬の外耳道は、垂直耳道と水平耳道に分かれた「L字型構造」です。
そのため風通しが悪く湿度が上がりやすくなり、耳トラブルを起こす可能性が高くなります。
結論として、「健康な耳に耳掃除は必要ありません」。
耳には耳垢を外に出そうとする「自浄作用」が備わっているからです。
鼓膜から老廃物を遠ざけよう働きますが、綿棒などで耳掃除を行うとかえって耳垢を外耳道の奥に押し込んでしまう可能性があります。
(同じ理由で、人でも耳掃除を頻繁にするのは良くないと言われています。)
また、見えない中での作業なので、外耳道を傷つけてしまうこともあり危険です。
症状がない子の耳掃除は基本必要がなく、症状がある子は病院の指示に従いましょう。
上記のように、犬の耳には自浄作用が備わっているので
耳の外に出てきた汚れをティッシュやコットンなどで優しく拭き取りましょう。
耳の病気などで自宅でも耳掃除をしたい場合は、「イヤークリーナー」を使用しましょう。
外耳炎は、耳の中の細菌が湿気などにより繁殖することで感染症が起こります。
イヤークリーナーは、耳の中を清潔な状態に保つためのアイテムです。
当院では、エピオティック(Virbac)を使用しています。
高い洗浄力と低刺激性を両立したアルコールフリーの耳洗浄液です。
金額は、125ml(写真:左)サイズ ¥3,260(税込み)です。
洗い方は以下の専用サイトをご覧ください。
頭を振ってくれない時は、耳にふぅと息を吹きかけるといいですよ。
他製品をご利用の場合は、なるべくアルコールフリーなどの「低刺激」商品を選ぶと耳に優しいと思います。
是非ご相談ください(^^*)
耳毛が伸びてくると、汚れが耳毛に絡まって外に出にくくなります。
空気の通りも悪くなり、湿気がこもりやすい状態を作り耳トラブルのリスクを上げます。
もちろん耳の毛を抜くことで、軽い炎症は起こってしまうので全てのわんちゃんで抜いたほうがいいというわけではありません。
耳毛が生えやすいトイプードルやシュナウザーなどの犬種の子で、外耳炎を繰り返しやすい子は定期的に耳毛抜毛を行ったほうがいい場合ありますので、動物病院や相談してみてください。
自浄作用で追いつけないほど耳汚れが溜まってきた場合は、炎症を起こしている可能性があります。
耳トラブルの多くは「外耳炎」ですが、
他にも、アトピー性皮膚炎、ミミダニ症、植物などの異物、腫瘍やポリープなどの場合もあります。
しきりに首を振る、足で耳を掻く仕草が増えた時は早めに病院を受診してください。
犬は人間の約4倍聴力が優れているといいます。
余談ですが、犬の聴力に関しては様々な説があります。
一説によると人間の400倍遠くの音を聞き分けられるという説もあるそうです。
400倍というのは例えると、飼い主が会社を出た時にはすでに犬は飼い主がこれから帰ってくることを音で察知出来ているというレベルだ。という話を読みました。本当なら面白いですね ^^
さて、犬が音を認識する仕組みは以下のようになっています。
耳介で音波を集め、垂直耳道と水平耳道を通ってその振動を鼓膜に伝える。
伝わった振動は中耳内の耳小骨を伝わって内耳へ届く。
内耳の蝸牛には音を感じ取る細胞が存在し、その細胞が脳神経へ音を伝える。
耳道の形を除けば、音を認識する仕組みは人と同じなんですね。
耳垢のタイプから、原因を推定することもあります。
詳しい検査は顕微鏡を用いた「耳垢検査」を行いますが、参考にご覧ください。
粘度のある黄色:細菌感染が疑われる
粘度のある茶色:マラセチア(カビ)の増殖が疑われる
耳の外側から外耳、中耳、内耳と呼ばれています。
外耳:耳の穴から鼓膜までの間の菅
中耳:鼓膜から繋がる空洞(音の振動を内耳に伝える働き)
内耳:音の振動と平衡感覚を脳神経に伝える器官
外耳道が炎症する「外耳炎」は特に多く、犬の病気の中でもトップクラスです。
ペット保険のアニコム損保が公開している保険請求データ(2019年度)でも「原因不明の外耳炎」が全ての病気の中で1位になっていました。
臨床症状は、頭を振る、耳元をかく、耳が臭うなど。
主な原因は、炎症や感染症、アレルギーなどによるものです。
外耳炎が重症化・長期化すると「中耳炎」を発症することがあります。
さらに重症化した外耳炎は、最終的に「内耳炎」を引き起こす可能性があります。
内耳炎は、中耳のさらに奥にある内耳が炎症を引き起こしている状態です。
内耳炎では、捻転斜頸(首を傾けた状態)や顔面神経麻痺などの症状が見られることがあります。
これは、内耳内にある三半規管や蝸牛が平衡感覚を司る神経に影響を及ぼすためです。
犬の場合は、多くは外耳炎の延長線に中耳炎・内耳炎が存在しているので
外耳の炎症を早期発見出来ることが中耳炎・内耳炎の予防に繋がります。
どこにでも生えているイネ科の雑草、ノギ。
犬の耳の中に混入する症例が去年2件ほど見られました。
この植物は、先が細く尖っていて外に広がる形になっています。
一方向にしか進まず、一度体内に入ってしまうと自然に出てくることはありません。
耳に混入した症例では、
違和感と痛みから犬が耳を掻き、鼓膜に近いところまでノギが入り込んでいました。
そして全身麻酔をかけて摘出することになりました。
他にも、鼻や足先に入ってしまうケースもあるそうです。
草むらや公園など緑の多い場所でのお散歩はお気を付けください。
⬇︎ 実際にノギが耳の中に入った子の摘出動画です。
垂れ耳で蒸れやすい犬や、水平耳道が狭い犬に発症する確率が高いようです。
アメリカンコッカースパニエル、ウエストハイランドホワイトテリア、パグなどが好発犬種です。
特にアメリカンコッカースパニエルは3頭に1頭以上が、外耳炎を発症したことがあるというデータがあります。
当院の基本的な外耳炎の治療は、院内で耳道洗浄を行い、自宅で点耳薬を投与してもらいます。
治療期間は、症状によって個人差があります。
一度の洗浄で綺麗になる子もいれば、再発を繰り返して慢性化し、治療が長期化するケースもあります。
また、耳の状態が良くなっても再発のリスクが高いので、特に夏場は定期的に耳の確認をしてあげてください。
軽度の外耳炎は、以下を組み合わせて治療させて頂くことが多いです。
参考までにご覧ください。(税抜き価格)
【検査】
オトスコープ(※)\1,000
耳垢検査 \1,500
【処置】
診察料 ¥1,000
外耳処置 \3,000
【処方】
外用薬処方 \2,300
※耳に挿入する内視鏡で、耳道内を鮮明に観察することが出来る道具。上記の動画もこの機械で撮影しています。
自宅で点耳が難しい場合は、院内の点耳で2週間効果がもつ外耳道治療薬もあります。是非ご相談ください。
外耳炎はよくある病気ですが、耳の痒みや違和感は動物にとってストレスをかけます。
毎日のスキンシップの中で、耳の中をチェックする習慣をつけるといいと思います(^^)
耳をしきりに掻くようになったら早めに病院を受診してくださいね。
大阪府吹田市青山台2−1−15(北千里駅から徒歩8分)
駐車場は10台以上あります。(豊中市、箕面市、茨木市、摂津市からも車で来院しやすいです)
皮膚科(アレルギー、アトピーなど)、腫瘍科(がん)、循環器科(心臓病、腎臓病)、外科手術(麻酔管理と痛みの管理をしっかり行います)を得意としています
健康診断、予防接種、フィラリア・ノミダニ予防、避妊・去勢手術も行います。ご相談ください。