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大阪府吹田市・豊中市・箕面市の皆さん。こんにちは。
院長の福間です。
今回は、ちょっと聞きなれない言葉かもしれませんが「耐性菌(たいせいきん)」について書いていこうと思います。
みなさん、耐性菌って知っていますか? ニュースとかでたまに出てくるのですが、「〇〇病院で、多剤耐性菌が発生し〜」みたいな感じで流れていたりします。
まず耐性菌とは何かですが、抗菌薬(細菌をやっつけるお薬)に耐性を持った菌のことを言います。
また抗菌薬というのは複数種類があり(当院で扱う抗菌薬も全て合わせると19種類になります)、多剤耐性菌とはこれらのうち複数種類の抗菌薬に対して耐性を持った菌をいいます。
この耐性菌ですが実は世界的にも問題になっており、2016年に発表された論文ではこのまま細菌感染症に対しての薬剤耐性(AMR)に対し対策を取らなければ、2050年にはガンでのなくなる人よりも耐性菌感染で亡くなる人が増えるだろうという言われています。
とても怖いデータですね。
確かに免疫が下がっている高齢の方が感染性肺炎になると、有効な抗菌薬がなければ大変なことになります。
この話から人医療でも獣医療でも、抗菌薬を適切に使用しようという流れがどんどん大きくなっています。
私自身の経験としても、昔は風邪をひいた時にフロモックス(抗菌薬)がよく一緒に出ていたんですが、今は風邪で病院にかかってもフロモックスはまず出ないです。
これも薬剤耐性対策で変わったところなんだと感じています。
これは先ほども触れたように獣医療においても重要なことになります。
いくら人のお医者さんが頑張って抗菌薬を乱用しないように頑張っても、獣医師が抗菌薬を乱用すれば耐性菌の発生リスクは思ったように下がらないからです。
ですので、私たちも日頃の診療で抗菌薬を適切に使うように心がけています。
私が普段気をつけている点は、
・下痢の時に、通常は整腸剤を使用し抗菌薬を使用しない。
・避妊・去勢手術後の抗菌薬使用は必要最小限にする。
(去勢時は使用せず。避妊手術時は、日帰りでおこなっているので翌日分のみ処方する。)
・細菌性皮膚炎には、消毒薬や薬用シャンプーを積極的に使用する。
・通常の第一選択とされる抗菌薬に反応しない細菌感染症には、薬剤感受性試験を行う。
です。難しい内容だと思うので、まぁ色々気を使っているんだなくらいに思ってもらえたら嬉しいです。
ここまでが耐性菌の話と、耐性菌を作らない対策は大事ですよっていう話をさせていただきました。
次に、先ほど少し出てきた「薬剤感受性試験(やくざいかんじゅせいしけん)」について紹介しようと思います。
薬剤感受性試験(やくざいかんじゅせいしけん)とは、事前にどの抗菌薬が効くのか調べる検査です。
通常は、外注(外の検査会社に検査を依頼するやり方)で行うのですが、当院は細菌性皮膚炎でブドウ球菌感染を疑う場合は院内で院内で薬剤感受性試験を行なっているのでその様子もお見せしようと思います。
まず実際の感受性検査の様子が下の画像になります。
適切な培地に菌を塗り広げて、その上に様々な抗菌薬が染み込んだディスクを置いていきます。
上の写真はディスクと菌の処置をしてから18時間後の様子です。
こんなところを見て評価しています。
この阻止円の大きさで抗菌薬が効きそうかを判断しています。
この写真では、青色の円のディスクは円が小さいので、「MINO」と「CP」という抗菌薬は効きそうにありません。
ただ赤色の円のディスクは円が大きいので、この「FOM」という抗菌薬は効きそうであるということがわかります。
中には
こんな阻止円が小さいものばかり(=複数の抗菌薬が効かない「多剤耐性菌」)のこともあります。
この子に薬剤感受性試験を行わずに手当たり次第抗菌薬を使っていれば、時間もお金も手間もかかってでも治らないという最悪なことになっていたかもしれません。
検査の判断をいただけたご家族には私自身感謝しています。
※一般的によく使われる抗菌薬は、「CEX」と「ERFX」です。やっぱり手当たり次第は得策ではないでしょう。
では、薬剤感受性試験のデメリットもお伝えしようと思います。
・費用:6,000〜10,000円かかる
・時間:結果が出るまで2〜10日かかる
(外注だと平均1週間強、院内だと2日かかります)
ただ通常はデメリット以上にメリットが大きいことがほとんどです。
私は、より高い確率で細菌感染症を治したい時や重症の子にこの検査を行います。
また耐性菌が出ている可能性を考慮する状況である
・半年以内の抗菌薬の使用
・ご家族が抗菌薬を服用している
・頻繁な通院歴がある
の場合も、薬剤感受性試験を行うべきか考えます。
治りが悪いものや、繰り返す細菌性皮膚炎では、多剤耐性菌が出ることも少なくありませんので、
もし細菌感染による皮膚炎や膀胱炎が治らない場合、薬剤感受性試験というものがあるということを思い出していただければ嬉しいです。
ESSE動物病院 院長 福間
大阪府吹田市青山台2−1−15(北千里駅から徒歩8分)
駐車場は10台以上あります。(豊中市、箕面市、茨木市、摂津市からも車で来院しやすいです)
皮膚科(アレルギー、アトピーなど)、腫瘍科(がん)、循環器科(心臓病、腎臓病)、外科手術(麻酔管理と痛みの管理をしっかり行います)を得意としています
健康診断、予防接種、フィラリア・ノミダニ予防、避妊・去勢手術も行います。ご相談ください