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フィラリア症という病気を聞いたことがある飼い主様は多いかもしれません。
フィラリア症は犬での予防が普及しているので、犬の病気と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
実は猫もフィラリア症にかかることがあります。
猫がフィラリア症にかかると心臓や肺に大きな負担がかかり、重篤な症状がでることがあるため注意が必要です。
この記事では猫のフィラリア症について、症状や治療法、予防の重要性について詳しく解説いたします。
ぜひ、最後までお読みいただき愛猫をフィラリア症から守るために知見を深めてください。

フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊が媒介する寄生虫の病気です。
フィラリア症は犬糸状虫に感染している蚊に刺されることで犬糸状虫が体内に入り、心臓や肺の血管に寄生して炎症や循環障害を起こす深刻な疾患です。
フィラリアに感染すると、幼虫が血管内を移動しながら数ヶ月で20〜30cmほどの成虫に成長し肺動脈に辿り着きます。
主に犬に多い病気ですが、猫にも感染することがあります。
猫は犬に比べて寄生しにくい体質のため、感染しても自然治癒することもあり、体内で成虫まで成長する数は少ないことが多いです。
少数でも寄生してしまうと猫の心臓や肺に大きなダメージを与える可能性があります。
猫はフィラリアに感染しても、初めはほぼ症状はでないため初期段階で疑うことが難しいです。
猫のフィラリア症では、フィラリアが成虫に成長して、寄生虫が心臓や肺動脈に入り込むことで、以下のようなさまざま問題が起こります。
このような症状はその他の呼吸器疾患・循環器疾患などにもよく認められる症状のため、フィラリア症をただちに疑うのは難しいかもしれません。
また、フィラリア症では前触れなく突然死してしまうケースも少なくありません。
猫がフィラリアに感染したとき、心臓や肺にどのようなことが起きているのでしょうか?
猫の場合、フィラリアの幼虫は多くが成虫になる前に猫の身体の中で死滅します。
生き残った幼虫が成虫になった場合でも、成虫の寿命が尽きるまでは猫が症状なく過ごせることも多いです。
成虫は2〜3年ほどで寿命を迎えますが、死滅したときに大きな問題が起こることがあります。
死骸が血流にのって肺や心臓の血管を詰まらせ、心不全や突然死につながる危険性があるためです。
また猫の場合、フィラリアの幼虫が肺の血管に到達すると、幼虫に対して異物反応(免疫反応)が起きてくるのも特徴です。
猫の肺の血管や組織に炎症が起こり、咳や呼吸促迫、呼吸困難といった症状を伴う場合もあります。
この肺の炎症反応はフィラリア関連呼吸器疾患(HARD)と呼ばれています。
こういったことから、猫のフィラリア症では前触れなく重篤な症状が出る場合が多いです。

猫のフィラリア症の診断には以下のような検査を行います。
猫はフィラリアの感染数が少ないという特徴があります。
そのためフィラリアに感染していたとしても、検査で陽性がでない場合が多いです。
レントゲン検査では肺炎や喘息に似た異常が見られることもありますが、フィラリア症と断定できるものではありません。
猫のフィラリア症を正確に診断できる検査法はないということですね。
猫のフィラリア症はその他の病気を除外し、症状や画像検査、飼育環境などを総合的に判断して診断されていきます。
猫のフィラリア症において「駆虫薬で成虫を殺す治療」は、危険性が高い治療のため基本的には行いません。
成虫が死んだときの免疫反応などで急変・死亡するリスクがあるためです。
主に以下のような対症療法(症状をやわらげる治療)が選択肢となります。
対症療法に加えて、これ以上の感染を避けるために、フィラリア予防薬の投与を継続することも重要です。
猫のフィラリア症は診断・治療が難しいうえに突然死のリスクもあるため、予防がとても重要となります。
猫のフィラリア症は、きちんと行えば確実に予防できる病気です。
蚊が出る季節から出なくなった1ヶ月後まで、毎月1回の予防薬を忘れずに使いましょう。
地域によりますが、おおよそ4月〜12月頃まで実施が推奨されます。
屋外に出る猫はもちろん、完全室内飼いの猫でも予防が必要です。
フィラリアに感染した猫の4頭に1頭が完全室内飼いというデータもあります。
猫のフィラリア予防薬には、
などがあります。
どちらも獣医師の処方が必要となるため動物病院に相談しましょう。

猫のフィラリア症は「犬ほど多くないから大丈夫」と思われがちです。
しかし一度感染すると心臓や肺に大きな負担がかかり、命に関わる危険な病気です。
愛猫を守るために、毎月の予防を欠かさず続けることがとても重要となります。
当院は循環器診療にも力を入れています。
フィラリアの予防についてや、愛猫に気になる症状があるときなどいつでも当院にご来院ください。
大阪府吹田市の動物病院
ESSE動物病院吹田