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犬の腸にできる腫瘍の中で、リンパ腫に次いで2番目に発生の多い悪性腫瘍です。
消化管(胃や腸)腫瘍の20~35%を占め、大腸の腫瘍では約60%が腺癌であるとされています。
転移が起こる確率が高く、特に腸間膜リンパ節への転移が多く見られます。
臨床症状は、食欲不振、体重減少、嘔吐、下痢などです。
小腸にできた腸腺癌の症例ではメレナ(黒色便:便が墨汁のように真っ黒になること)、結腸~直腸発生の症例では血便、しぶり(うんちを気張るが出ない様子)などが認められます。
腫瘍が小さい時は症状が見られないことが多く、これらの症状が見られる場合は病期が進行している場合がほとんどです。
好発犬種はジャーマン・シェパードやコリーなどです。
また、高齢や雄の発生が比較的多いと報告されています。
腸の粘膜の細胞である腺細胞(汗や消化液、ホルモンなどの分泌を行う)が腫瘍化した悪性腫瘍です。
診断には、腹部超音波検査が有効です。
腹部触診で腫瘤を触知できるケースも多く、結腸や直腸に発生が疑われる場合には直腸検査を行うこともあります。
十二指腸、空腸近位、回腸遠位~直腸に発生する腸管腺癌の診断には内視鏡検査を行うこともあります。
外科手術前の検査としては、超音波ガイド下でのFNAや内視鏡下組織生検を行います。
この検査では、特にリンパ腫や肥満細胞腫などの他の腸にできる腫瘍を除外することができ、とても重要な検査です。
血液検査では、腫瘍による二次的な変化としての脱水や貧血などが見られることもあります。
貧血は小腸腺癌の負の要因とされており、また低アルブミン血症は外科手術後の腸同士の癒合不全のリスクがあると報告されています。
CT検査では腸の粘膜の評価は困難ですが、腹腔内リンパ節の評価や周囲臓器への浸潤・癒着の評価を行うことができます。
腸腺癌の治療の第1選択は、外科的な切除です。
また確定診断の目的としても行い、確定診断は外科切除後に病理学的検査を行います。
さらに、腸腺癌が消化管の中を狭くすることで食べ物が流れなくなり詰まってしまうこともあります。このような場合、すでにリンパ節などへの転移が確認されている状況でも、緩和治療として外科手術が選択されることがあります。
転移や脈管浸潤を伴う場合は、術後に化学療法が考慮されますが現状では有効性は不明であるとされています。
転移をする前に適切な範囲での切除が行うことができれば、比較的寿命を伸ばすことが出来るという報告もあります。