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【症例紹介】電気化学療法(ECT)で愛犬の腫瘍治療に挑む  |ESSE動物病院 大阪府 吹田市|ESSE動物病院吹田|吹田市(北千里駅)・箕面市・豊中市の動物病院

【症例紹介】電気化学療法(ECT)で愛犬の腫瘍治療に挑む  |ESSE動物病院 大阪府 吹田市

大阪府吹田市・豊中市・箕面市の皆さん。こんにちは。

代表・専科獣医師の福間です。

今回は当院で行なっている腫瘍治療の一つ、電気化学療法について実際の症例の報告という形で、

電気化学療法についての情報をお伝えできればと思っています。

 

【目次】

  • はじめに:電気化学療法(ECT)とは
  • 電気化学療法が適応となる腫瘍とは?
  • 症例紹介:ポメラニアンの鼻にできた腫瘍
  • 治療経過
  • 電気化学療法のメリット・デメリット
  • 出張治療について
  • 電気化学療法研究会について
  • 最後に

 

 


 

○はじめに:電気化学療法(ECT)とは

腫瘍治療といえば、手術・抗がん剤・放射線治療を思い浮かべる方が多いと思いますが、電気化学療法(Electrochemotherapy:ECT)という新しい治療法をご存知でしょうか?

この治療法は、抗がん剤を全身投与後もしくは腫瘍に注入し、電気パルスをかけることで薬剤の浸透性を飛躍的に高めるという、欧米ではすでに多くの実績がある先進的な腫瘍治療法です。

ESSE動物病院では、外科手術を希望されていない場合の選択肢として、また外科治療ができない場所への治療として、愛犬・愛猫や、再発腫瘍に対して電気化学療法を導入し、効果を上げています。

 


 

○ 電気化学療法が適応となる腫瘍とは?

皮膚型リンパ腫の症例 左:治療前、右:ECT1回実施1ヶ月後

 

電気化学療法は、以下のような腫瘍に有効とされています。

  • 扁平上皮癌

  • 軟部組織肉腫

  • メラノーマ(悪性黒色腫)

  • 注射部位肉腫(猫)

  • 独立円形細胞腫瘍
  • 外科切除困難な皮膚腫瘍

  • 再発性の局所腫瘍

また、全身状態が良くない高齢の子や、麻酔リスクが高い子、複数の麻酔処置を行いにくい場合にも、短時間麻酔・単回治療でも行えるため、負担少なく行える症例がいるという点が注目されています。

 

詳しくは、こちらのブログで⇩

犬・猫の新しいがん治療法:電気化学療法の効果とメリット | ESSE動物病院 大阪府 吹田市

 

 


 

○症例紹介:ポメラニアンの鼻にできた腫瘍

検査の結果、「悪性黒色腫(メラノーマ)」と診断されました。

鼻の切除手術も選択肢でしたが、飼い主様はできる限りの臓器温存を希望されており、手術ではなく電気化学療法を選択されました。

 

 


 

○治療経過

左:治療前 右:治療2ヶ月後

 

1 紹介

今回の話が少し変わっているのは、この患者さんは当院にはこられておらず、静岡県の「みなとまちアニマルクリニック」に来院された患者さんでした。ですので、それまでの診察や検査はかかりつけ病院で行われていました。

 

2 第1回目の電気化学療法(ECT)

獣医師がECTの機械を持って病院まで行き、ECT治療を実施しました。

ブレオマイシンの静脈内投与と、シスプラチンの局所投与を行い、電気パルス処置を実施しました。

 

3 経過

ECT治療後一時的に腫れや炎症が起こります。これをお薬や患部のケアで管理していきます。

その後、写真でお示ししているように腫瘍が広がっている部分がそのままなくなるような変化で、

1回の治療で大きな治療効果が得られたと判断をしました。

 

 


 

○電気化学療法のメリット・デメリット

メリット

  • 局所治療のため体への負担が少ない

  • 抗がん剤の量が少なく、副作用もほとんどない

  • 外科が難しい場所にも適用可

  • 1回の治療でも効果が期待できる

デメリット

  • 有効性の低い腫瘍もある

  • 保険適用外の場合もある(事前確認が必要)

  • 処置後の炎症と痛みの管理が必要

 

 


 

○出張治療について

今回のケースのように、機器自体は持ち運びが可能なため、出張治療という形で対応できる点もECT治療の大きな魅力です。

ただし、全身麻酔が必要となるほか、治療後の経過観察や適切な支持療法を行う必要があるため、基本的にはお近くの病院と連携して実施することになります。

また、ECT治療についてさらに詳しくお知りになりたい方には、オンライン相談もご利用いただけます。腫瘍の治療方針についても、オンラインでご相談いただけますので、ぜひご活用ください。

 

「オンライン診療についてはこちらから☝️」

 


 

○電気化学療法研究会について

 

電気化学療法は、まだ日本で広がりは十分ではないですが、確実に広がり定着しつつある治療だとも思っています。

それは、電気化学療法研究会の立ち上げ・発展によるものも大きくあり、この研究会が来週福岡で開催されます。

 

▶ 電気化学療法研究会とは?

獣医療における電気化学療法の臨床情報の共有・技術普及・教育を目的とした団体です。

  • 症例データの蓄積と共有

  • ECTに関する学会・セミナーの開催

  • 獣医師向けの研修・技術指導

  • 臨床現場での標準化ガイドラインの作成

当院の代表福間も、この研究会に所属・参加しており、獣医医療領域における電気化学療法を腫瘍治療のゲームチェンジャーとなるべく適切な普及を推進しています。

研究会に興味ある先生方おられましたら、お繋ぎいたしますので下記メールアドレスまでご連絡いただけると幸いです。

メール:esse.fukuma@esse-animal-cl.com

 

 


 

○最後に

腫瘍という診断を受けたとき、多くの飼い主様が不安や迷いを抱えます。

「本当にこの治療で良いのか?」「もっと負担の少ない方法はないのか?」——そんなお気持ちに、私たちESSE動物病院は真摯に向き合い、家族ごとの最善の選択肢を共に考えることを大切にしています

電気化学療法は、まだ一般的には広く知られている治療法ではありませんが、確かなエビデンスと臨床実績に支えられた有効な選択肢のひとつです。特に、手術が難しいケースでは大きな希望となります。

私たちは今後も、電気化学療法研究会をはじめとする専門機関との連携を通じて、常に最新かつ安全な医療を皆様にお届けできるよう努めてまいります。

愛犬・愛猫の腫瘍治療に悩まれたときは、どうぞお気軽にご相談ください。

一人で悩まず、一緒に最良の治療法を探していきましょう

 

 

ESSE動物病院 代表 福間

大阪府吹田市青山台2−1−15(北千里駅から徒歩8分)

駐車場は10台以上あります。(豊中市、箕面市、茨木市、摂津市からも車で来院しやすいです)

皮膚科(アレルギー、アトピーなど)、腫瘍科(がん)、循環器科(心臓病、腎臓病)、外科手術(麻酔管理と痛みの管理をしっかり行います)を得意としています

健康診断、予防接種、フィラリア・ノミダニ予防、避妊・去勢手術も行います。ご相談ください

 獣医師 福間 康洋
代表・専科獣医師
福間 康洋
記事監修
代表・専科獣医師 福間 康洋(フクマ ヤスヒロ)
  • 日本獣医腫瘍科認定医Ⅱ種(吹田市で1人、大阪府で30人[2023年4月時点])
  • 日本獣医腎泌尿器学会認定医
  • 獣医教育・先端技術研究所 腹部・心臓超音波研修 修了
  • 日本獣医皮膚科学会所属
  • 日本獣医がん学会所属
  • 日本獣医循環器学会所属
  • 日本獣医腎泌尿器学会所属
  • 日本獣医救急集中治療学会所属
  • 日本小動物歯科研究会所属
  • 日本獣医麻酔外科学会
  • 2015年:鳥取大学獣医学科卒業
  • 2018年:犬とねこの皮膚科 研修生
  • 2018~19年:ネオベッツVRセンター 研修生(内6ヶ月間)
  • 2021年:ESSE動物病院 開院
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