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大阪府吹田市・豊中市・箕面市の皆さん。こんにちは。ESSE動物病院の院長 福間です。
今回は、腫瘍科診療の一部をお見せしようと思います。
内容は、「皮膚のイボが気になる」という主訴で来院された場合の実際の流れを紹介させていただきます。
今回の患者さんは、「お尻と胸にしこりができていて気になる」という主訴で来院されました。
実際の写真が残っていなくて申し訳ないのですが、確かに胸とお尻に同じくらいのサイズのしこりがあり、どちらも直径3cmくらいの大きさで触り心地は同じで柔らかく芯がない感触でした。
唯一外見で違ったのは、お尻のしこりは毛が生えていませんでしたが、胸のしこりは毛が生えていました。
皮膚の腫瘍を見た目で100%診断するのは、やはり正確ではない点もあるので危険ですが、見た目の情報が役に立つことは多いです。
例えば毛の生えていないしこりの場合は、皮膚自体からしこりができていることが多いです。
図で示すと青い点線で囲んだ部位です。
逆に毛が生えているしこりの場合は、多くは皮膚の下の脂肪やさらにその下の筋肉・骨などの組織からできている可能性を考えます。
これは小さな違いではありますが、腫瘍は発生する場所がわかればそれがどんな腫瘍なのか推測することができるのです。
推測できれば、『どんな腫瘍か、腫瘍でないのか、全くわからない』という状況から『腫瘍であればこれとこれが、腫瘍でないならこれとこれが確率としては高くなる』というところまで絞ることができることもあります。
さらにこれを確認する手段として、当院では皮膚エコー検査も行うことが多いです。
例えば今回の子の胸のしこり(毛が生えている)の皮膚エコー検査画像を下に示します。
蛍光ペンで囲ったところが、しこりの部分です。
細かい説明は省きますが、これは脂肪組織を疑う見え方です。なので、この場合脂肪腫を疑います。また見た目から予想していた、『皮下脂肪のあたりから発生していそう』ということとも相違ないため、この胸のしこりに関しては『脂肪腫疑い』としました。脂肪腫に関しては、さらにご家族がより確かな診断を希望された場合のみ針検査(針を刺して中の細胞を取ってくる検査)を行うようにしています。
次にお尻のしこり(毛が生えていない)の皮膚エコー検査画像を下に示します。
これも蛍光ペンで囲った範囲がしこりの部分です。
これも細かい説明は省きますが、先程の脂肪腫と若干見え方が違っていました。なので、血流に色を載せる特殊な設定(color doppler : eFLOW)にしてみると、しこりの中に色がついているのがわかります。つまり、このしこりは血流が比較的豊富だということがわかり、脂肪腫は血流が少ないことが多いので、これは脂肪腫ではなさそうだと考えます。
ここで、『脂肪腫ではなくある程度大きいしこりで血流も多い=悪性腫瘍の可能性』と考えます。
悪性腫瘍の可能性を考える場合は、やはりなるべく早い診断か治療を検討すべきですので、今回は針検査を行いもう少しこのしこりに関する情報を集めることにしました。
結果は、「肛門周囲腺腫(腺癌)」を疑う内容でした。
一旦今回はここで終わりにします。
皮膚のしこりは見た目でも情報を得ることができることもあり、また皮膚エコー検査(痛みのない検査)でも情報を集めることができる。その結果必要以上の検査をしなくてもいい状況がある、ということです。
もちろん、念の為の検査を全て否定するつもりはありません。いろんな検査手法があるということが今回お伝えしたかったことです。
腫瘍やしこりのことでお悩みのことがあれば、当院はセカンドオピニオンも受け付けております。少しでも多くの人の腫瘍に対する不安を減らせるよう、診療を行っております。お役に立てることがあればぜひお手伝いさせてください。よろしくお願いします。
ESSE動物病院 院長 福間
大阪府吹田市青山台2−1−15(北千里駅から徒歩8分)
駐車場は10台以上あります。(豊中市、箕面市、茨木市、摂津市からも車で来院しやすいです)
皮膚科(アレルギー、アトピーなど)、腫瘍科(がん)、循環器科(心臓病、腎臓病)、外科手術(麻酔管理と痛みの管理をしっかり行います)を得意としています
健康診断、予防接種、フィラリア・ノミダニ予防、避妊・去勢手術も行います。ご相談ください