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大阪府吹田市・豊中市・箕面市の皆さん。こんにちは。
大阪府吹田市のESSE動物病院の院長 福間です。
犬の身体にできるしこりの中でも「脾臓腫瘍」は比較的発生頻度が高いです。一般の人からすると脾臓はとてもマイナーな臓器であり、そこに腫瘍ができたとしても大した問題にはならないように思われがちですが、実際はそうではありません。今回はそんな犬の脾臓腫瘍の主な原因や症状、治療法についてわかりやすく解説します
ひと言で脾臓腫瘍といっても、いくつかの種類に分けられます。ワンちゃんに最も多い脾臓の悪性腫瘍が「血管肉腫(けっかんにくしゅ)」です。“がん”という名称はついていませんがこれは悪性腫瘍です。全身の臓器に転移しやすく、早期の治療が望まれます。血管を構成する血管内皮細胞のがん化が根本的な原因です。その他、脾臓の腫瘍性疾患には、リンパ腫や肥満細胞腫などがあり、それぞれで発生機序が異なります。
脾臓に腫瘍が生じると、腹部の腫れや食欲・元気の低下が認められます。脾臓からの出血がないケースは自覚症状に乏しく、健康診断やその他の病気の画像診断で偶然、発見されることも珍しくありません。腹腔内で出血と起こすと、急速なショック症状を示すことがあります。脾臓は全身の血液の10~20%程度を貯蔵している臓器なので、それが破裂すると低血圧、呼吸促迫、頻脈などの重篤な症状を引き起こすため要注意です。ちなみに脾臓腫瘍はとても脆くて破裂しやすいです。
脾臓腫瘍は、腹部超音波検査、X線検査、CT検査などで画像診断できます。ただし、画像診断では、腫瘍が良性か悪性かは評価するのが難しいです。確定診断を行うのであれば、病理検査が必須となります。腹腔内出血や腫瘍内出血を繰り返しているようなケース、また脾臓の腫瘍の中で血液が壊されているようなケースでは血液検査で貧血が認められます。
◎手術前診断は難しい?
先ほども述べたように、脾臓腫瘍は脆くて破裂しやすいので、手術前に病変の一部を採取するのが容易ではありません。仮に問題なく病変を採取できたとしても、細胞診だけで確定診断を下すのは困難であることも少なくありません。ですから、血管肉腫のような悪性腫瘍の疑いが強い場合は、万全を期して手術後に病理組織検査を実施します。
脾臓腫瘍が血管肉腫と診断された場合、一般的には脾臓の全摘出が行われます。ケースによっては脾臓の部分的な切除で対応できることもありますが、術後の出血や再発リスクを考えると、全摘出が妥当であるといえます。脾臓を外科的に切除したら、抗がん剤を用いた化学療法に移行します。化学療法を行ったからといって、余命が極端に長くなることは稀ではありますが、化学療法をしない場合と比べて長生きできる可能性は上がるので、手術後の化学療法を強くお勧めしています。
◎脾臓を全部とってしまっても大丈夫?
「脾臓の全摘出」と聞くと、術後の全身状態に不安を感じる飼い主さんも多いかと思いますが、その点はご安心ください。脾臓は“脳”や“心臓”のように、唯一無二の臓器というわけではありません。脾臓が担っている機能は、その他の臓器でも代替可能なので、仮にすべて摘出してしまっても全身の健康状態が急速に悪くなるようなことはないのです。もちろん、脾臓も残せるに越したことはありませんが、血管肉腫の予後を考えた場合、全摘出した方がワンちゃんの身体にとっても利益が大きいといえるのです。
このように、犬の脾臓腫瘍にはいくつかの種類がありますが、悪性腫瘍となると1/2が血管肉腫です。今回はそんな血管肉腫を中心に、脾臓腫瘍の原因や症状を、治療法について解説してきました。ご自宅のワンちゃんに少しでも心当たりのある症状が認められる場合は、お気軽にESSE動物病院までご連絡ください。まずは精密に検査いたします。
大阪府吹田市青山台2−1−15(北千里駅から徒歩8分)
駐車場は10台以上あります。(豊中市、箕面市、茨木市、摂津市からも車で来院しやすいです)
皮膚科(アレルギー、アトピーなど)、腫瘍科(がん)、循環器科(心臓病、腎臓病)、外科手術(麻酔管理と痛みの管理をしっかり行います)を得意としています
健康診断、予防接種、フィラリア・ノミダニ予防、避妊・去勢手術も行います。ご相談ください