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大阪府吹田市・豊中市・箕面市の皆さん。こんにちは。ESSE動物病院の院長 福間です。
前回は犬と猫の去勢手術について書いたので、
今回は犬と猫の避妊手術に関して書いていこうと思います。
避妊手術は卵巣のみをとる卵巣摘出術と、卵巣・子宮を合わせてとる卵巣子宮全摘出手術に分けられます。日本では、卵巣子宮全摘出手術の方がメジャーで8割くらいの獣医師が、この術式を選択しているみたいです。
避妊手術を行う目的としては、性ホルモンに関連する病気の予防や予期せぬ妊娠を避ける目的が挙げられます。
今回のタイトルとしては、
について書いていきます。
避妊手術を行う時期は、多くの病院で6ヶ月齢以降と説明されることが多いと思います。
実際に私たちの病院でも、多くの場合が6ヶ月齢を迎えた時点で手術をすることが多いです。
なので、当院としては「6ヶ月齢になったら多くの犬猫では避妊手術を行いましょう!」と説明しています。
ただ、以前から「早期の避妊・去勢手術によって関節の病気や腫瘍の発生が増えるのでは?」ということも言われていて、6ヶ月齢で全ての犬種で避妊手術をする、というのは今後正しい判断と言えなくなるかもしれません。
例えば、『Assisting Decision-Making on Age of Neutering for 35 Breeds of Dogs: Associated Joint Disorders, Cancers, and Urinary Incontinence(35品種の犬の避妊去勢手術の年齢に関する意思決定の支援:関連する関節障害、癌、および尿失禁)』という論文が出ています。
これは、「犬種によっては早期の避妊去勢手術が問題のない犬種もいるし、問題がある犬種もいるよ!」という内容です。
具体例で言うと、『ボーダー・コリーは6〜11ヶ月齢の時に手術をすると、癌の発生リスクが上がった』や『コッカースパニエルは1〜2歳の時に手術をすると、癌の発生リスクが上がった』と言う内容が書かれています。
あくまでこれはアメリカでの報告で、日本の犬にそのまま当てはめれる話ではないですが、今後の手術の適切なタイミングを判断するのに参考にしていこうと思います。
上記の論文は無料で閲覧できます。下記にURLを載せておきます。
全てのことには、メリット・デメリットがあります。
それは避妊手術においても同じです。
避妊手術のメリットは、
です。
乳腺腫瘍は、乳腺にできる腫瘍であり悪性のものは肺などに転移し完治が難しいものもあります。また乳腺腫瘍の摘出手術は、時に皮膚の多くの部分を切除する必要性も出てくるので、負担の大きい手術でもあると思います。
子宮蓄膿症は、子宮の中に細菌を含む膿を溜める病気で、治療が遅れると腎不全などの臓器障害のリスクや最悪亡くなってしまうこともある怖い病気です。また、治療には多くの場合外科手術が選択されるため、高齢で他の病気(心臓病など)もかかっている場合は難しい選択をしなければいけないこともあります。
こういった厄介な病気の予防ができると言うのは、避妊手術の大きなメリットだと考えます。
また、発情出血などのケアなども少なからずご家族の負担になることもあり、このような体調の変化も避妊手術を行うことでなくすことができます。
逆に避妊手術のデメリットは、
です。
麻酔のリスクとしての客観的な数字として、私は1990年代の報告に「健康な個体の術中死の確率は0.1〜0.2%」と言うものをお伝えすることが多いです。
ただ、今では獣医療の分野も発展しており、人と同様にガス麻酔や人工呼吸器による麻酔管理も行われています。
また、麻酔に関する技術や知識も蓄積されており、全身麻酔の安全性は高くなっていると考えています!!(もちろん病院によって違いは多いです。良い悪いは置いといて、全身麻酔のやり方や麻酔管理のやり方は本当にバラバラだと思います。)
また、当院は開院したばかりですが『アクロサージ(マイクロ波を用いたエネルギーデバイス)』を導入しました!
この機械は、マイクロ波を用いて血管をシーリングすることで縫合糸を使わないで血管処理を行うことができ、様々な手術で活躍できる機械です。(詳しくはこちらを⇨https://webmedical.nikkiso.co.jp/blood_purification/surgery/acrosurg#)
この機械によって得られる恩恵としては、麻酔時間の短縮と縫合糸に対するアレルギー反応の予防だと思っています。この機会で動物の負担を減らすことで、さらに安全に負担の少ない手術になると考えています。
手術を検討する上で、費用もとても大事な要素ですね。
答えを言ってしまうと、病院によってバラバラです。本当にバラバラです!また、術前検査をするところ、最小限にするところ、避妊去勢は術前検査をしないところ、など検査に関してバラバラです。なので余計費用はバラバラになります。(術前検査はする病院を選ぶことをお勧めします。安かろう悪かろうです。)
また、表記に関しても去勢手術の“手術費用のみ”を記載の場合もあるので、最終的にホームページに書いてある費用の2倍以上になることもあります。
不安な場合は、先に病院に見積もりを出してもらうよう頼むことをお勧めします。
参考になるかは分かりませんが、ここで当院での明細内容と金額を載せておきます。私が自分の子に去勢手術を行うときも、この項目の検査を行い、この処置を行って負担を最小限にして去勢手術をします。
猫 と 9.9kgまでの犬 (3歳未満) の場合、
診察料 + 採血料 + 血液検査(CBC+血液化学検査8項目) + 胸部レントゲン検査 + 麻酔薬料(麻酔管理を含む) + 術中輸液料 + 術前抗生剤投与 + 避妊手術料 + マイクロ波メスによる処置料 + 鎮痛剤投与 + 局所麻酔料 + 抗生剤・鎮痛剤処方料(1日分)
これで、合計70,000円前後(税込)です。(これは、若い子の避妊手術のみの特別料金です。)
(ただ術後服を希望される場合は、それが2,900円〜でかかります。また術中管理のための血圧を上げる薬などを用いた場合、別に料金がかかります。ご理解いただければと思います。)
次に避妊手術の後の状態や流れを説明していきます。
避妊手術は基本的に日帰り手術です。なので、手術後2〜3時間後に状態を確認したのちお返しします。99%の子が歩いて帰っていきます。(残りの1%は歩くことを放棄した子で、抱っこで帰っていきます。)
その後、傷の確認に1週間後を目安に1回再診で来院いただき、問題なければ治療終了となります。(傷の縫合に関しても病院によって様々です。なので、術後の流れも病院によって変わります。)
他の病院では皮膚縫合のみのところもあります。この場合は、舐めて傷が開いたりするリスクもありそうなので、当院では違うやり方をとります。
当院は、皮内縫合のみで表面に糸は出ないようにしています。
これは避妊手術の術前と術後の写真です。手術で切る位置と、皮内縫合の傷の見え方が伝わればと思います。
皮内縫合をしっかりしていれば、基本的に舐めて傷が開いたりなどはしないです。また、糸が出ていて抱っこするときにチクチクする感じもないので、気にせず抱き上げることができます。
当院の避妊手術の特徴を記載します。
だと考えています。
「避妊手術がどんなものかわからなくて」といった方の不安の軽減に、今回の内容が役に立てば嬉しいです。
ESSE動物病院 院長 福間
大阪府吹田市青山台2−1−15(北千里駅から徒歩8分)
駐車場は10台以上あります。(豊中市、箕面市、茨木市、摂津市からも車で来院しやすいです)
皮膚科(アレルギー、アトピーなど)、腫瘍科(がん)、循環器科(心臓病、腎臓病)、外科手術(麻酔管理と痛みの管理をしっかり行います)を得意としています
健康診断、予防接種、フィラリア・ノミダニ予防、避妊・去勢手術も行います。ご相談ください