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犬の本態性脂漏症とは?|ベタつき・フケを繰り返す皮膚病を獣医師が解説|ESSE動物病院吹田|吹田市(北千里駅)・箕面市・豊中市の動物病院

犬の本態性脂漏症とは?|ベタつき・フケを繰り返す皮膚病を獣医師が解説

犬の本態性脂漏症とは?|ベタつき・フケを繰り返す皮膚病を獣医師が解説

散歩中のコッカースパニエル

「シャンプーしてもすぐに皮膚がベタつく」
「フケが多く、体から独特のにおいがする」
「皮膚病を繰り返していて、なかなか良くならない」
このような症状が続いている場合、「ケアが悪い」というわけではなく本態性脂漏症という皮膚病が関係している可能性があります。
本態性脂漏症は見た目の問題だけでなく、皮膚炎を慢性的に繰り返す原因にもなる病気です。

今回は、犬の本態性脂漏症について、原因や症状の特徴、治療と日常管理の考え方をわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の皮膚トラブルを理解する参考にしてください。

本態性脂漏症はどんな皮膚病?

犬の本態性脂漏症とは、皮膚の皮脂分泌や角質の代謝が生まれつき乱れやすい体質によって起こる皮膚病です。
コッカー・スパニエルやウエスティなどでよく見られることがあります。
本態性脂漏症になると、体質によって皮膚が本来もっている「うるおいの調整」や「ターンオーバー」がうまく働かず、皮脂や角質が過剰にたまってしまいます。
その結果、皮膚がベタついたり、フケが増えたりといった症状が慢性的に続くようになります。
一時的な皮膚炎とは異なり、生活を整えれば自然に治るタイプの皮膚病ではないという点が、本態性脂漏症の大きな特徴です。

本態性脂漏症で見られやすい症状

本態性脂漏症では、皮膚や被毛に次のような変化が見られます。
症状は犬によって差がありますが、複数当てはまるケースも少なくありません。

  • 皮膚や被毛がベタつく
  • フケが多い、粉をふいたように見える
  • 体や皮膚から強いにおいがする
  • 皮膚が赤くなる
  • 被毛が束になって見える

 

症状は体全体に出ることもあれば、

  • 首まわり
  • 内股
  • 耳の付け根

 

などに目立つこともあります。

本態性脂漏症と他の皮膚炎の関係

本態性脂漏症がある犬では、見た目以上に皮膚の環境が不安定な状態が続いています。
そのため、皮膚に常在している菌が増えやすく、二次的な皮膚炎を併発しやすいのが特徴です。

具体的には、

  • マラセチア性皮膚炎
  • 細菌性皮膚炎(膿皮症)

 

などを繰り返す原因になります。

犬の皮膚が「治療すると一度は良くなるけれど、すぐ再発する」という場合、本態性脂漏症が背景にあることも少なくありません。

本態性脂漏症と似た皮膚病との違い

脂漏症という言葉は、ほかの皮膚病でも使われることがあります。
そのため、本態性脂漏症との区別が重要です。

続発性脂漏症との違い

続発性脂漏症は、別の病気が原因で脂漏症状が起こっている状態です。
例えば、

  • アレルギー性皮膚炎
  • 内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)
  • 感染症

 

などが原因になります。

この場合、原因となる病気を治療することで脂漏症状が改善することがあります。
一方、本態性脂漏症は体質が関係しているため、長期的な管理が必要になります。

動物病院で行う検査と診断

本態性脂漏症が疑われる場合、動物病院では次のような検査を行います。
脂漏症そのものを確定するというより、ほかの病気を除外することが重要になります。

  • 皮膚の顕微鏡検査
  • 細菌や真菌の確認
  • 血液検査(内分泌疾患の評価)

 

これらを総合的に判断し、「体質による脂漏症かどうか」を見極めていきます。

本態性脂漏症の治療の考え方

本態性脂漏症の治療では、「完治させる」ことよりも、症状をコントロールして皮膚の状態を安定させることが目的になります。

薬用シャンプーによる管理

脂漏症の治療で中心となるのが、薬用シャンプーです。
薬用シャンプーの使用は皮脂や角質を適切に取り除き、皮膚環境を整えることが目的です。

ただし、

  • 洗いすぎ
  • 自己判断での頻回シャンプー

 

は、かえって皮膚を傷める原因になります。
使用頻度や種類は獣医師の指示に従うことが大切です。

併発する皮膚炎への治療

マラセチアや細菌感染を併発している場合には、

  • 抗真菌薬
  • 抗菌薬

 

などが必要に応じて使われます。
二次感染を抑えることで、脂漏症状も落ち着きやすくなります。

芝生で伏せる犬

ご家庭でできるケアと注意点

本態性脂漏症は、日常管理がとても重要な皮膚病です。
次のような点を意識してあげましょう。

  • 指示された方法でのスキンケアを継続する
  • 皮膚のベタつきやにおいの変化を観察する
  • 自己判断で治療を中断しない
  • 定期的に皮膚の状態を診てもらう

 

本態性脂漏症は「少し良くなったから」とケアをやめてしまうと、再発を繰り返しやすくなるため注意が必要です。

ブランケットで眠る犬

まとめ

犬の本態性脂漏症は、皮脂分泌や角質代謝の異常によって起こる、慢性的に付き合っていく必要のある皮膚病です。
ベタつきやフケ、においを繰り返す背景には、この体質が隠れていることがあります。
大切なのは、

  • 体質による病気であることを理解する
  • 長期的な管理を前提に治療を続ける
  • 皮膚の状態を安定させることを目標にする

 

という考え方です。

当院では、皮膚科診療にも力を入れ、本態性脂漏症を含む慢性的な皮膚病に対して、検査から治療、日常管理まで丁寧にサポートしています。
皮膚のベタつきやフケが気になる場合は、ぜひ一度ご相談ください。

大阪府吹田市の動物病院
ESSE動物病院吹田

 

 獣医師 福間 康洋
代表・専科獣医師
福間 康洋
記事監修
代表・専科獣医師 福間 康洋(フクマ ヤスヒロ)
  • 日本獣医腫瘍科認定医Ⅱ種(吹田市で1人、大阪府で30人[2023年4月時点])
  • 日本獣医腎泌尿器学会認定医
  • 獣医教育・先端技術研究所 腹部・心臓超音波研修 修了
  • 日本獣医皮膚科学会所属
  • 日本獣医がん学会所属
  • 日本獣医循環器学会所属
  • 日本獣医腎泌尿器学会所属
  • 日本獣医救急集中治療学会所属
  • 日本小動物歯科研究会所属
  • 日本獣医麻酔外科学会
  • 2015年:鳥取大学獣医学科卒業
  • 2018年:犬とねこの皮膚科 研修生
  • 2018~19年:ネオベッツVRセンター 研修生(内6ヶ月間)
  • 2021年:ESSE動物病院 開院
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