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犬が散歩中やご家庭で階段を登ったときに、疲れているような様子を感じたことはありませんか?
犬が階段や坂道で疲れやすくなるのは、単なる年齢や筋力の衰えだけではない場合も。
実は、心臓に負担がかかっているときにも、「すぐ疲れる」「運動を嫌がる」といった変化が見られることがあります。
今回は、犬が階段で疲れるときに考えられる心臓病(循環器疾患)との関係や、治療・生活上の注意点、受診の目安について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の心臓の異常に気づくきっかけにしてください。
犬が階段で疲れやすくなる原因はさまざまです。
「最近急に疲れやすくなった」
「休み休み登るようになった」
といった変化がある場合は、心臓に原因がある可能性があります。
心臓は、全身に酸素と栄養を運ぶポンプの役割を担っています。
このポンプ機能が弱ってくると、運動時に筋肉へ十分な酸素が届けられず、疲れやすさや息切れとして現れるのです。
階段のように心拍数が上がる運動中や直後に疲れが目立つのは、心臓病の初期サインであることも。
とくに以下のような病気には注意が必要です。
「散歩は大丈夫だけど、階段だけ嫌がる」
「高いところに登るのをためらう」
そんなときに考えられる循環器の病気を紹介します。
僧帽弁閉鎖不全症は小型犬でよく見られる代表的な心臓病です。
心臓の左側にある弁(僧帽弁)がうまく閉じなくなり、血液が逆流してしまいます。
この逆流によって心臓の負担が増し、少しの運動でも息切れや疲れを感じやすくなります。
進行すると、咳や呼吸の異常、失神なども見られるため注意が必要です。
心不全とは心臓のポンプ力が低下し、血液の流れが滞ってしまう状態です。
血液が肺や体の末端にたまり、酸素不足や倦怠感として現れることがあります。
「以前は元気だったのに、最近は登るのがつらそう」という場合は要注意です。
心臓病が進行すると、肺に水がたまる「肺水腫」や、肺の血圧が上がる「肺高血圧症」を引き起こすことがあります。
この状態では呼吸が苦しくなり、運動を避けようとするようになります。
肺水腫や肺高血圧症では階段だけではなく安静時にもしんどそうな様子が見られるかもしれません。
犬が苦しそうな様子がある場合にはすぐに動物病院を受診しましょう。
心臓病によって階段や運動で疲れやすくなっている場合、まずは心臓にかかる負担を減らすことが治療の基本です。
病気の進行度や生活環境に合わせて、以下のような点を重視して治療が行われます。
心臓病の治療には主に内服薬を用います。それぞれの薬が目指す役割は次のようになります。
こうした薬は、症状や検査結果によって随時調整が必要です。定期的な通院と経過観察がとても重要になります。
「以前より疲れやすくなったか」「階段の途中で立ち止まることが増えたか」といった日常の変化も、治療の指標になるため、日常の様子を獣医師にくわしく伝えておきましょう。
治療に加えて、生活環境を整えることもとても大切です。
日常でできるケアとして、次のようなポイントがあります。
毎日のちょっとした気づかいが、症状の悪化を防ぐことにつながります。
次のような変化が見られたら、心臓病を疑って早めに受診しましょう。
「歳だから仕方ない」と思わず、少しの違和感でも早めに獣医師に相談することが大切です。
犬が階段で疲れるようになったとき、それは心臓からのサインかもしれません。
僧帽弁閉鎖不全症や心不全では、「ちょっとした疲れやすさ」から症状が始まることが多く、気づきにくいのが特徴です。
見た目には元気そうに見えても、体の中では心臓が頑張りすぎているかもしれません。
愛犬の様子に変化を感じたら、無理をさせず、早めに動物病院を受診しましょう。
当院では、循環器診療に力を入れています。
「最近階段を嫌がる」「疲れやすい気がする」といった小さな変化でも、お気軽にご相談ください。
大阪府吹田市の動物病院
ESSE動物病院吹田