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犬・猫の去勢手術 | 適切な時期は? デメリットは? 費用は? 去勢後はどうなるの?  |ESSE動物病院吹田|吹田市(北千里駅)・箕面市・豊中市の動物病院

犬・猫の去勢手術 | 適切な時期は? デメリットは? 費用は? 去勢後はどうなるの?  

大阪府吹田市・豊中市・箕面市の皆さん。こんにちは。ESSE動物病院の院長 福間です。

 

今回は犬と猫の去勢手術に関して書いていこうと思います。

去勢手術は、精巣をとる手術のことで、性ホルモンに関連する病気の予防や予期せぬ妊娠を避ける目的で行います。

今回のタイトルとしては、

 

去勢手術の適切な時期は?
去勢手術のメリット・デメリットは?
去勢手術の費用は?
去勢手術の後はどうなるの?
当院の去勢手術の特徴は?

 

について書いていきます。

 

 

 

去勢手術の適切な時期は?

 

去勢手術を行う時期は、多くの病院で6ヶ月齢以降と説明されることが多いと思います。

実際に私たちの病院でも、多くの場合が6ヶ月齢を迎えた時点で手術をすることが多いです。

なので、当院としては「6ヶ月齢になったら多くの犬猫では去勢手術を行いましょう!」と説明しています。

ただ、以前から「早期の避妊・去勢手術によって関節の病気や腫瘍の発生が増えるのでは?」ということも言われていて、6ヶ月齢で全ての犬種で去勢手術をする、というのは今後正しい判断と言えなくなるかもしれません。

例えば、『Assisting Decision-Making on Age of Neutering for 35 Breeds of Dogs: Associated Joint Disorders, Cancers, and Urinary Incontinence(35品種の犬の避妊去勢手術の年齢に関する意思決定の支援:関連する関節障害、癌、および尿失禁)』という論文が出ています。

これは、「犬種によっては早期の避妊去勢手術が問題のない犬種もいるし、問題がある犬種もいるよ!」という内容です。

具体例で言うと、『ビーグルは6〜11ヶ月齢の時に手術をすると、関節障害のリスクが上がった』や『ゴールデンレトリバーは6〜11ヶ月齢の時に手術をすると、癌の発生リスクが上がった』と言う内容が書かれています。

あくまでこれはアメリカでの報告で、日本の犬にそのまま当てはめれる話ではないですが、今後の手術の適切なタイミングを判断するのに参考にしていこうと思います。

 

上記の論文は無料で閲覧できます。下記にURLを載せておきます。

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2020.00388/full?fbclid=IwAR3RsGR9-e2AkyPBSk6k1DOO64_3bRoSpRCKpSoVwn8cPsHaX8lWieg00Go

 

 

 

去勢手術のメリット・デメリットは?

 

 

全てのことには、メリット・デメリットがあります。

それは去勢手術においても同じです。

去勢手術のメリットは、

  1. 性ホルモンが関与する特定の病気の、発生リスクを下げることができる。(精巣の腫瘍、前立腺肥大・前立腺膿瘍、会陰ヘルニア)
  2. 性ホルモンによる問題行動を改善できる。(スプレー行動、興奮、過剰な性行動)
  3. 予期せぬ妊娠を避けることができる。

です。

前立腺肥大は、尿や便が出にくくなることもあり、お薬での治療もできますが肝臓に負担がかかることの多い薬でもあります。

会陰ヘルニアは、お尻の横の筋肉が薄くなる病気で、時に膀胱や腸が飛び出してきます。また、手術が難しく状況によってはお腹も開けて手術を行ったりします。さらに、一般的に手術後の再発も少なくない病気です。私自身、再発した経験はまだないですが、術式の適応にはいつも頭をフル回転させて考えています。

こういった厄介な病気の予防ができると言うのは、去勢手術の大きなメリットだと考えます。

また、これはオス猫に多いですが、性ホルモンに関係する問題行動として、尿を家の柱や壁にかける「スプレー行動」を止めさせたいから、去勢手術を希望される方もおられます。

そのような性ホルモンに関係する問題行動を抑制するのも、去勢手術のメリットだと思います。

 

 

逆に去勢手術のデメリットは、

  1. 手術・全身麻酔による合併症のリスクがある。(麻酔事故の確率は、0.1~0.2%という報告があります。Dodman and Lamb, 1992; Dyson et al.,1998; Joubert, 2000; Brodbelt et al., in press-a)
  2. 交配できなくなる。
  3. 特定の病気の発症率が上昇する。(上記の論文では、特定の犬種で特定のタイミングでの去勢手術は、癌の発生リスクを10%以上上昇させるという場合も報告されています。)

です。

麻酔のリスクとしての客観的な数字として、私は1990年代の報告に「健康な個体の術中死の確率は0.1〜0.2%」と言うものをお伝えすることが多いです。

ただ、今では獣医療の分野も発展しており、人と同様にガス麻酔や人工呼吸器による麻酔管理も行われています。

また、麻酔に関する技術や知識も蓄積されており、全身麻酔の安全性は高くなっていると考えています!!(もちろん病院によって違いは多いです。良い悪いは置いといて、全身麻酔のやり方や麻酔管理のやり方は本当にバラバラだと思います。)

 

また、当院は開院したばかりですが『アクロサージ(マイクロ波を用いたエネルギーデバイス)』を導入しました!

この機械は、マイクロ波を用いて血管をシーリングすることで縫合糸を使わないで血管処理を行うことができ、様々な手術で活躍できる機械です。(詳しくはこちらを⇨https://webmedical.nikkiso.co.jp/blood_purification/surgery/acrosurg#

この機械によって得られる恩恵としては、麻酔時間の短縮と縫合糸に対するアレルギー反応の予防だと思っています。この機会で動物の負担を減らすことで、さらに安全に負担の少ない手術になると考えています。

 

 

 

 

 

去勢手術の費用は?

手術を検討する上で、費用もとても大事な要素ですね。

答えを言ってしまうと、病院によってバラバラです。本当にバラバラです!また、術前検査をするところ、最小限にするところ、避妊去勢は術前検査をしないところ、など検査に関してバラバラです。なので余計費用はバラバラになります。(術前検査はする病院を選ぶことをお勧めします。安かろう悪かろうです。)

また、表記に関しても去勢手術の“手術費用のみ”を記載の場合もあるので、最終的にホームページに書いてある費用の2倍以上になることもあります。

不安な場合は、先に病院に見積もりを出してもらうよう頼むことをお勧めします。

参考になるかは分かりませんが、ここで当院での明細内容と金額を載せておきます。私が自分の子に去勢手術を行うときも、この項目の検査を行い、この処置を行って負担を最小限にして去勢手術をします。

 

猫 (3才未満)の場合、

診察料 + 採血料 + 血液検査(CBC+血液化学検査8項目) + 胸部レントゲン検査 + 麻酔薬料(麻酔管理を含む) + 術中輸液料 + 術前抗生剤投与 + 去勢手術料 + マイクロ波メスによる処置料 + 鎮痛剤投与 + 局所麻酔料 

これで、合計50,000円前後(税込)です。(これは、若い子の去勢手術のみの特別料金です。)

 

9.9kgまでの犬 (3歳未満) の場合、

診察料 + 採血料 + 血液検査(CBC+血液化学検査8項目) + 胸部レントゲン検査 + 麻酔薬料(麻酔管理を含む) + 術中輸液料 + 術前抗生剤投与 + 去勢手術料 + マイクロ波メスによる処置料 + 鎮痛剤投与 + 局所麻酔料 

これで、合計55,000円前後(税込)です。(これは、若い子の去勢手術のみの特別料金です。)

 

ただ術後服を希望される場合は、それが2,900円〜でかかります。また術中管理のための血圧を上げる薬などを用いた場合、別に料金がかかります。ご理解いただければと思います。

 

 

去勢後はどうなるの?

次に去勢手術の後の状態や流れを説明していきます。

去勢手術は基本的に日帰り手術です。なので、手術後2〜3時間後に状態を確認したのちお返しします。99%の子が歩いて帰っていきます。(残りの1%は歩くことを放棄した子で、抱っこで帰っていきます。)

その後、傷の確認に1週間後を目安に1回再診で来院いただき、問題なければ治療終了となります。(傷の縫合に関しても病院によって様々です。なので、術後の流れも病院によって変わります。)

 

他の病院では皮膚縫合のみや縫わない(猫の場合)ところもあります。この場合は、舐めて傷が開いたり化膿するリスクもありそうなので、当院では違うやり方をとります。

 

当院は、皮内縫合のみで表面に糸は出ないようにしています。

手術で切る位置は黄色のラインのあたりです。(術後の写真がなかったので場所だけお示します。)

 

これは避妊手術の術前と術後の写真です。皮内縫合の傷の見え方が伝わればと思います。

 

皮内縫合をしっかりしていれば、基本的に舐めて傷が開いたりなどはしないです。また、糸が出ていて抱っこするときにチクチクする感じもないので、気にせず抱き上げることができます。

 

 

当院の去勢手術の特徴は?

 

最後に宣伝も兼ねて、当院の去勢手術の特徴を記載します。

 

  1. 動物の麻酔の負担と手術の痛みをなるべく少なくする麻酔・疼痛管理
  2. アクロサージによるさらなる負担軽減
  3. 皮内縫合による安心の術後管理

 

だと考えています。

 

「去勢手術がどんなものかわからなくて」といった方の不安の軽減に、今回の内容が役に立てば嬉しいです。

 

 

 

 

ESSE動物病院 院長 福間

大阪府吹田市青山台2−1−15(北千里駅から徒歩8分)

駐車場は10台以上あります。(豊中市、箕面市、茨木市、摂津市からも車で来院しやすいです)

皮膚科(アレルギー、アトピーなど)、腫瘍科(がん)、循環器科(心臓病、腎臓病)、外科手術(麻酔管理と痛みの管理をしっかり行います)を得意としています

健康診断、予防接種、フィラリア・ノミダニ予防、避妊・去勢手術も行います。ご相談ください

院長 福間 康洋
院長 福間 康洋
記事監修
院長 福間 康洋(フクマ ヤスヒロ)
  • 日本獣医腫瘍科認定医Ⅱ種(吹田市で1人、大阪府で30人[2023年4月時点])
  • 日本獣医腎泌尿器学会認定医
  • 獣医教育・先端技術研究所 腹部・心臓超音波研修 修了
  • 日本獣医皮膚科学会所属
  • 日本獣医がん学会所属
  • 日本獣医循環器学会所属
  • 日本獣医腎泌尿器学会所属
  • 日本獣医救急集中治療学会所属
  • 日本小動物歯科研究会所属
  • 日本獣医麻酔外科学会
  • 2015年:鳥取大学獣医学科卒業
  • 2018年:犬とねこの皮膚科 研修生
  • 2018~19年:ネオベッツVRセンター 研修生(内6ヶ月間)
  • 2021年:ESSE動物病院 開院
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