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猫の腸にできる腫瘍の中で、リンパ腫に次いで2番目に発生の多い悪性腫瘍です。
犬とは異なり、腸腺癌が一番できやすいのは小腸です。また犬と同様に、大腸にできる腫瘍の中で腸腺癌が一番多いです。
臨床症状は、食欲不振、体重減少、嘔吐、下痢などです。
猫では腺癌診断時に約9割で消化管の通過障害が見られたとの報告もあります。ですので、通過障害による嘔吐などの症状が見られることが、腫瘍の診断のきっかけになることがあります。
好発猫種はシャムで、平均の発症年齢は10〜13歳です。
腸の粘膜の細胞である腺細胞(汗や消化液、ホルモンなどの分泌を行う)が腫瘍化した悪性腫瘍です。
診断には、腹部超音波検査が有効です。
腹部触診で腫瘤を触知できるケースも多く、結腸や直腸に発生が疑われる場合には直腸検査を行うこともあります。
十二指腸、空腸近位、回腸遠位~直腸に発生する腸管腺癌の診断には内視鏡検査を行うこともあります。
外科手術前の検査としては、超音波ガイド下でのFNAや内視鏡下組織生検を行います。
この検査では、特にリンパ腫や肥満細胞腫などの他の腸にできる腫瘍を除外することができ、とても重要な検査です。
血液検査では、腫瘍による二次的な変化としての脱水や貧血などが見られることもあります。
貧血は小腸腺癌の負の要因とされており、また低アルブミン血症は外科手術後の腸同士の癒合不全のリスクがあると報告されています。
CT検査では腸の粘膜の評価は困難ですが、腹腔内リンパ節の評価や周囲臓器への浸潤・癒着の評価を行うことができます。
腸腺癌の治療の第1選択は、外科的な切除です。
また確定診断の目的としても行い、確定診断は外科切除後に病理学的検査を行います。
さらに、腸腺癌が消化管の中を狭くすることで食べ物が流れなくなり詰まってしまうこともあります。このような場合、すでにリンパ節などへの転移が確認されている状況でも、緩和治療として外科手術が選択されることがあります。
転移や脈管浸潤を伴う場合は、術後に化学療法が考慮されますが現状では有効性は不明であるとされています。
転移をする前に適切な範囲での切除が行うことができれば、比較的寿命を伸ばすことが出来るという報告もあります。