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犬・猫の皮膚にしこりがある!原因や治療は? | ESSE動物病院 吹田市|ESSE動物病院吹田|吹田市(北千里駅)・箕面市・豊中市の動物病院

犬・猫の皮膚にしこりがある!原因や治療は? | ESSE動物病院 吹田市

犬・猫の皮膚にしこりがある!原因や治療は?

 

こんにちは、大阪府吹田市のESSE動物病院の看護師 森谷です。

当院ではわんちゃん、ねこちゃんの体にポツッと触れるものがある!またはトリミングの時にイボができてますよと言われた!と相談を受けることがたくさんあります。

人でもしこりを見つけると悪いものではないか?と不安になるのと同じで、わんちゃんねこちゃんでも心配になりますよね?

今回はそんな身近にある、皮膚もできものについてお話ししたいと思います。

まず、そもそもしこり(腫瘤)とは「皮膚や皮下組織の一部が塊になっているもの」のことを指します。

また、腫瘍とは「細胞が異常に増殖したもののこと」です。

つまり、しこりの中でも種類によっては腫瘍であることもあります。

 

 

しこりの症状

・いつからあるか(いつ見つけたか)

・大きくなっていないか(小さくなることはないか)

・他のところにないか

・しこりから毛は生えているかどうか

・さわり心地はどうか

なども原因を考えるのに重要な情報になってきます。

例えば、良性の腫瘍は発生部位だけで増殖し、比較的ゆっくりと大きくなるのに対して、

悪性腫瘍は発生した部分の周囲の組織を破壊しながら増殖(浸潤)して急に大きくなるものがお多いです。

また、毛の生えていないしこりは皮膚自体からできていることが多いのに対して、

毛が生えているしこり皮膚の下の組織(脂肪や筋肉、骨)などからできている可能性が高いです。

 

 

しこりの原因

では、なぜしこりができるのでしょうか?

皮膚は表面から順に、表皮、真皮、皮下組織(主に脂肪)で構成されています。

皮膚のしこりは皮膚(表皮・真皮)にできる腫瘍と皮膚下(皮下組織)でできる腫瘍に分かれます。

 

 

皮膚の腫瘍

 皮脂腺腫、毛包嚢腫、乳頭腫、形質細胞種、扁平上皮癌、肛門周囲腺腫(肛門周囲腺癌)、肥満細胞腫、皮膚組織球腫など

 

○皮脂腺腫

 皮膚の内部にある皮脂腺(皮脂を分泌するところ)が異常に増殖して腫瘍を形成します。部位によって名前が変わることがあり、まぶたのマイボーム腺にできた腫瘍はマイボーム腺種、未去勢の犬に多い肛門周囲腺にできるものを肛門周囲腺腫と呼びます。

 

○毛包嚢腫

 毛穴の部分(毛包)に袋状の構造物ができてしまい、そこに本来なら皮膚から剥がれ落ちるはずの皮脂や角質などが袋の中に溜まってしまった腫瘤です。どんどん中身が溜まっていくため、容量がいっぱいになると痛がったりすることもあり、放っておくと破裂することがあります。

 

○乳頭腫

  名前の通り乳頭のような見た目で細かい裂け目がありカリフラワーのような形をした体のどこにでも発生する腫瘍です。単発で老犬に多く見られます。多発する場合はウイルス(パピローマウイルス)が原因とされ、若齢犬に多く見られます。※人には感染しません

 

○扁平上皮癌

 原因ははっきりとは分かっていませんが猫の口腔内に多い悪性腫瘍です。

典型的なものでは舌に病変が形成され、骨への浸潤も度々見られることがあります。症状としては嚥下障害、よだれが見られます。

また、体表や顔面での発生は太陽光によって老猫に引き起こされることが多いと言われています。

 

○肛門周囲腺腫

 未去勢のオス犬に発生するホルモンが関係し肛門括約筋(肛門の横)周囲に発生する腫瘍です。良性なものを肛門周囲腺腫、悪性のものを肛門周囲腺癌と言います。

肛門周囲の腫瘍として、高齢の雌犬に多い肛門嚢の分泌腺であるアポクリン腺が腫瘍化する肛門嚢アポクリン腺癌というものもあります。

○肥満細胞腫

 全身の皮膚に見られる腫瘍で、ヒスタミンやヘパリンをもつ肥満細胞が癌化したものです。犬では低悪性のものから高悪制度のものまで様々ですが、猫では良性のものが多いです。肥満とは関係がありません。

 

○皮膚組織球腫

 若齢犬に多い原因不明の良性腫瘍です。ドーム状の形をしており、濃いピンク色で表面に毛はなくなめらかです。潰瘍を伴うこともあります。頭部や四肢の皮膚で単独に発生して急速に1~2㎝程度まで成長します。自然と治ることがあります。

 

 

皮膚下の腫瘍

 線維肉腫、脂肪腫(脂肪肉腫)などがあります。

 

○線維肉腫

 猫ちゃんに多い軟部組織の癌です。身体のあらゆる部分に発生しますが、特に体幹、乳腺、四肢、顔面に多く見られます。ワクチン接種部位肉腫も線維肉腫のうちの1つです。

 

○脂肪腫

 脂肪組織の良性腫瘍です。中~高齢の犬において胸部、腹部、四肢、脇に多く発生します。大きさや形状は様々ですが、ゆっくり大きくなり柔らかいのが特徴です。体表に多発することもあります。ほとんどは皮下脂肪種ですが中には痛みを伴うような浸潤性脂肪腫という珍しいタイプのものもあります。

 

 

すぐ治療が必要?

結論としては良性のものか、悪性のものかによって違います。

悪性と良性の相違点を表したものです。

※異型性…正常細胞とは形態に違いが見られること  ※細胞の分化度…がん細胞が本来の正常な細胞の形態をどれくらい維持しているかのこと

 

悪性腫瘍は様々な経路を伝って他の臓器に移動し増殖を続ける(転移する)ため、皮膚・骨・筋肉・内臓・血液など体のあらゆる細胞が腫瘍化する可能性を持っています。

また、肥満細胞腫などの悪性腫瘍ではヒスタミンが関与してくるため、食欲不振や嘔吐、黒色便などの消化器症状や血圧低下・虚脱などの循環器症状など致死的な合併症状が起こってくるようなものもあります。

そのため、悪性腫瘍では早期発見・早期治療を心がけることが大切になってきます。

対して良性腫瘍ですが転移など命に関わってくるものではなかったり、大きやさ部位によっては切除にも全身麻酔が必要になるものもあるので、必ず切除などの治療を進めるワケではありません。

ただ、気にして自分で掻いたり噛んだりしてしまい出血を繰り返す、足先にできているため痛みから歩くのを嫌がる、まぶたにできていて目に当たってしまっている、など動物のQOL(生活の質)を下げてしまっているのなら治療介入してあげるのも1つではないかと思います。

 

 

当院での治療の流れ

当院でしこりについての相談があった時の診療の流れを紹介します。

検査

当院ではしこりが見つかった時にいきなり切除して調べることをご提案するのではなく、部位や見た目を確認した上でまず2つの検査方法をとることが多いです。

 

○皮膚エコー検査

 当院ではまず皮膚エコー検査を行うことが多いです。

下の画像は当院で行なった皮膚エコーの画像です。

黄色いペンで囲った部分がしこりです。

(左:脂肪腫、右:肛門周囲腺癌)

 

皮膚エコー検査を行うことによって、しこりが皮膚にあるのかそれとも皮下組織に存在するのかなど場所を確認することができます。

またしこりと周囲組織との境界が明瞭なのか不明瞭なのかを確認したり、血流に色を載せる特殊な設定(写真右)でしこりに血流が乗っているのかどうかなどの確認できます。

(通常脂肪腫は血流が少ないことが多く、血流が多い場合は悪性の可能性があります)

 

○細胞診検査(FNA)

しこりから細胞を取ってきて染色液で染めて顕微鏡で細胞を確認する検査です。

(↓実際に細胞診検査で確認できた細胞) 

取ってきた細胞で腫瘍かどうかの判断や、どういった腫瘍なのかを判断します。

ただ、ものによっては診断に至る場合と至らない場合がありますが、可能性のある病気を絞っていくことができます。

細胞診検査はしこりに針を刺して細胞を取ってくることになるので、細い針を使いますがやはり皮膚に針を刺す以上かわいそうという感情が出てきてしまいます。

エコー検査はプローブを皮膚に当てるだけでできる検査になるので、第一選択としてエコー検査を行うことが多いです。

そして、しこりによってエコー検査だけを行なったり、その後細胞診検査も行い、検査を組み合わせて診断を行うこともあります。

 

診断方法

先ほど紹介した皮膚エコー検査や細胞診検査はあくまで診断の1つの手段になってくるので、「おそらく〇〇だろう」「〇〇を疑う」という結果になります。

確定診断には腫瘍を切り取って病理検査に出すという方法になります。

先ほどにも少しお話ししましたが、腫瘍の摘出には麻酔が必要になってきます。

体幹や足の皮膚に出来た小さいものであれば局所麻酔で摘出できることもありますが、腫瘍が大きかったり、顔周りで動物がどうしても嫌がって動いてしまい、安全に切除ができない場合は鎮静や全身麻酔が必要になります。

腫瘍の大きさや、発生部位、動物の性格などを考慮して方法を選択していきます。

 

治療方法

○良性腫瘍

病理結果で良性腫瘍と診断がついた場合は摘出の際に縫った糸を10日~2週間で抜糸を行い、傷口が問題ないことを確認した時点で治療終了となることがほとんどです。

 

○悪性腫瘍

病理結果で悪性腫瘍と診断が出た場合はマージン(切除する必要のある組織)が確保されているか、腫瘍の種類、悪性度などによって治療方針が変わってくるので今後の治療方針の相談へと進みます。

 

 

まとめ

今回は若い子から高齢の子までどの子にも起こりうる皮膚のできもののお話をさせていただきました。

以前までは”たかがイボ”や、高齢の子であれば”年取ったらイボはどうしても増えるよね”と安易に考えられがちでしたが、最近はすぐに気づいて相談に来院される飼い主様が増えたような気がします(^_^)

やはり見た目だけでは大丈夫なものか悪いものかの判断がつきにくいので早くに相談していただいて安心してもらえたり、早期発見で早期治療ができることは私たちも嬉しく感じています。

早期発見のためにも普段からスキンシップの延長でわんちゃん・ねこちゃんの全身を触ってしこりがないかなどを確認してあげてください♪

子犬さん・子猫ちゃんを飼われている方はそういった為にも全身を触るトレーニングも大事になってきますね! 

 

 

ESSE動物病院 院長 福間

大阪府吹田市青山台2−1−15(北千里駅から徒歩8分)

駐車場は10台以上あります。(豊中市、箕面市、茨木市、摂津市からも車で来院しやすいです)

皮膚科(アレルギー、アトピーなど)、腫瘍科(がん)、循環器科(心臓病、腎臓病)、外科手術(麻酔管理と痛みの管理をしっかり行います)を得意としています

健康診断、予防接種、フィラリア・ノミダニ予防、避妊・去勢手術も行います。ご相談ください

 

院長 福間 康洋
院長 福間 康洋
記事監修
院長 福間 康洋(フクマ ヤスヒロ)
  • 日本獣医腫瘍科認定医Ⅱ種(吹田市で1人、大阪府で30人[2023年4月時点])
  • 日本獣医腎泌尿器学会認定医
  • 獣医教育・先端技術研究所 腹部・心臓超音波研修 修了
  • 日本獣医皮膚科学会所属
  • 日本獣医がん学会所属
  • 日本獣医循環器学会所属
  • 日本獣医腎泌尿器学会所属
  • 日本獣医救急集中治療学会所属
  • 日本小動物歯科研究会所属
  • 日本獣医麻酔外科学会
  • 2015年:鳥取大学獣医学科卒業
  • 2018年:犬とねこの皮膚科 研修生
  • 2018~19年:ネオベッツVRセンター 研修生(内6ヶ月間)
  • 2021年:ESSE動物病院 開院
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