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大阪府吹田市・豊中市・箕面市の皆さん。こんにちは。ESSE動物病院の院長 福間です。
今回も前回と同じ猫の話をしようと思います。
今回は、猫の腎臓病についてです。
まず慢性腎臓病という言葉は、「腎臓へのダメージが3ヶ月以上続いている状態」もしくは「腎臓の機能低下が3ヶ月以上続いている状態」を言います。これを言い換えると、腎臓へのダメージや腎臓の機能低下が3ヶ月以上続く病気は全て『慢性腎臓病』と呼べるということです。
なので本来は、慢性腎臓病という診断する際には「何が原因なのか」を考え、この後に説明する腎臓の血液検査以外の検査(エコー検査、尿検査、血圧測定、レントゲン検査など)も行う必要があります。
ただ今回は、猫で比較的多いいわゆる『猫の慢性腎臓病』について書いていこうと思います。
猫の慢性腎臓病は、尿細管間質性腎炎というものが多く、これは腎臓の中でも「尿細管」というところの周りに炎症や線維化(細胞が死んでダメになる状態、と考えたらいいです)が起こりそれによって、腎臓機能低下がゆっくり進行していきます。(この後から出てくる『猫の慢性腎臓病』という言葉は、尿細管間質性腎炎についてだと思ってください)
病気の初期は、元気や食欲はそこまで変化せずに、ただおしっこが多く水をよく飲む「多飲多尿」という症状から見られることが多いです。
その後、時間をかけて進行してくるとだんだん食欲が無くなったり、嘔吐が多くなってきたり、体調の悪化が目に見える様になります。
健康診断などをしない子の場合、大抵この進行した段階で検査をして腎臓病が発覚することも少なくありません。
猫の慢性腎臓病は、基本的に失われた腎臓機能は治療で戻ることは少ないので、なるべく進行を予防することが重要です。
ではこの猫の慢性腎臓病にはどんな検査が必要なのでしょうか?
まずは、血液検査は必要です。
血液検査では、腎臓の機能が低下すると上がってくる項目がいくつかあります。BUN(尿素窒素)、Cre(クレアチニン)、SDMAなどです。
先に書いたように、これらの項目が一定以上高く、且つ一定期間続けて異常値であることで慢性腎臓病の診断はすることができます。
ただこれ以外にも検査をすることで、尿細管間質性腎炎以外の慢性腎臓病や他の病気の確認、また治療方針の決定などをすることができます。
以下に書いていきます。
猫の慢性腎臓病にはステージ分類があるということは、みなさんよくご存知だと思います。
では、まずこのステージ分類ってそもそも何のためにあると思いますか?
答えは、治療方針の決定です。つまりは、適当に治療しないできちんと治療の有効性や必要性が認められている治療を適切に行っていきましょうというものです。
ちなみに、このステージ分類はIRIS(International Renal Interest Society)から出されているものです。
では、どの様なものがあるのでしょうか?
クレアチニン<1.6 もしくは SDMA<18
腎臓の機能は低下していないものの、腎臓自体には異常が見られている状況を指します。
この時は、
といったことを気をつけます。
クレアチニン 1.6〜2.8 もしくは SDMA 18〜25
軽度に腎臓機能が低下している状況です。
腎臓機能が減少し、40%を切った状態でSDMAが、25%を切った状態でクレアチニンが上昇するとも言われています。
ただそんな状況でも、症状はない場合も多く、症状があっても少し食欲の低下が見られたり、たまに吐くといった症状のことが多いです。
この時は、
ということを行います。
クレアチニン 2.9〜5.0 もしくは SDMA 26〜38
中等度に腎臓機能が低下している状況です。
症状はしっかり出てくることが多く、元気・食欲の低下、嘔吐、脱水、貧血などが見られます。
この時は、
といったことを考えて、治療を検討します。
クレアチニン 5.0< もしくは SDMA 38<
重度に腎臓機能が低下している状況です。
症状はステージ3のものがより強く出てくることが多いです。
この時は、
といったことを考えます。
サブステージとは、先ほどの4段階のステージ評価とは別に、血圧や尿中タンパクを検査してそれに合わせた治療を検討するためのものです。
基本的に、血圧が高い ⇨ 血圧を下げる治療 、 尿中タンパクあり ⇨ タンパクが漏れにくくするような治療
これらを検討しましょうというものです。
先程のステージ分類に基づいた治療方針だけではなく、このサブステージ評価に基づく治療も重要になってきます。
参考ページ:https://www.idexx.co.jp/files/iris-pocket-guide-jp.pdf
今回は、猫の慢性腎臓病がどんな病気か、またステージ分類とはどのようなものかを書かせてもらいました。
いかがでしたか?
同じ病気だけどステージによって治療が変わります。私たちは、猫の腎臓病に適切なタイミングで適切な治療を行えるよう、これらを参考に治療を行なっています。
もしお悩みの方がおられましたら、一度当院までご相談ください!
ESSE動物病院 院長 福間
大阪府吹田市青山台2−1−15(北千里駅から徒歩8分)
駐車場は10台以上あります。(豊中市、箕面市、茨木市、摂津市からも車で来院しやすいです)
皮膚科(アレルギー、アトピーなど)、腫瘍科(がん)、循環器科(心臓病、腎臓病)、外科手術(麻酔管理と痛みの管理をしっかり行います)を得意としています
健康診断、予防接種、フィラリア・ノミダニ予防、避妊・去勢手術も行います。ご相談ください